空寂[語句情報] »
空寂
「空寂〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
空寂の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「光と風と夢」より 著者:中島敦
が、何時も私の心を押しつける。蠢《うごめ》き、まつわるものの、いやらしさ。周囲の
空寂と神秘との迷信的な不気味さ。私自身の荒廃の感じ。絶えざる殺戮《さつりく》の残....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
夜の弁信のいるところも、存外、人間臭いところであるかも知れません。 ところで、
空寂と、沈静と、茫漠と、暗黒と、孤独とは、形の通りで、弁信なればこそ、仔細らしく....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
し」は、知る時に、知った時にという事であるが、今迄は経文により、説教により、万事
空寂無常のことは聞及んでいたが、今|現に、自分の身に直接に、眼のあたりに、今の言....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
ピアノをひいて夢想にふけるのが常だった。ところがその音楽は、彼女がうっとりしてる
空寂の境地を乱して、彼女をいらだたせた。彼女は怒って窓を閉《し》めた。音楽は室の....
「新西遊記」より 著者:久生十蘭
リン》といわれる高燥不毛の地で、平均高度一万八千尺、冬は零下四十八度まで下るので
空寂たる無住の凍原となり、六、七、八の三カ月、ところどころに遊牧民の天幕が見られ....
「墓地展望亭」より 著者:久生十蘭
、改めてこの荒漠たる風景を眺めわたした。月もなく星もなく、ただ一面に黒々とした、
空寂な世界だった。こんな暗い荒野に、ひとり、ぽつんと投げ出されては、どうしよう術....
「壁」より 著者:中井正一
わなる上に、僅かに仏像が残っている。みずからの渉跡を没することでみずから無の示す
空寂の美わしさを現わす仏像を載せて、壁はみずからを時の錆にまかす。 なぜそこに....
「チチアンの死」より 著者:木下杢太郎
生かした。褐色の池のぴたぴたと音を立てる処、蔦の葉の山毛欅の幹にまとわる処、その
空寂の裡に彼は能く神々を拉し来った。サチロスはその笛を以てシリンクスを喚び起し、....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
何事でも、痩せて、枯れて、滅してしまう一方です。仏教では、この方法を「灰身滅智の
空寂」(肉体も精神も罪悪の基として否定する教えすなわち小乗仏教)と言って、肉体も....