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空屋
「空屋〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
空屋の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
たまま一切無頓着でただ馬の跡について歩いた。
K市街地の町端《まちはず》れには
空屋《あきや》が四軒までならんでいた。小さな窓は髑髏《どくろ》のそれのような真暗....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
ゆうぐれの寒い色に染められて、呪《のろ》いの伝説をもっている朝顔屋敷の大きな門は
空屋のように閉まっていた。半七は門番のおやじにそっと声をかけて訊いた。 「お部屋....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
という旗本が住んでいたが、なにかの都合で雑司ヶ谷の方へ屋敷換えをして、この夏から
空屋敷になっていることが判った。もう疑うまでもない。悪者どもが徒党して、喜右衛門....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
跟いて行く。 裏町の中程に懸ると、両側の家は、どれも火が消えたように寂寞して、
空屋かと思えば、蜘蛛の巣を引くような糸車の音が何家ともなく戸外へ漏れる。路傍に石....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
も場末らしい寂しいところでした。 前にも申す通り、六月末の夕方、その仲町通りの
空屋敷の塀外に人立ちがした。というのは、そこに不思議なものを見付けたからで、何十....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
あたかも稲妻に籠る穴に似て、もの凄いまで寂寞した。 木下闇、その横径の中途に、
空屋かと思う、廂の朽ちた、誰も居ない店がある…… 四 鎖してはな....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
―はあ、まず何にしろだ。こっちから頼めばとって、昼間掃除に行くのさえ、厭がります
空屋敷じゃ。そこが望み、と仰有るに、お住居下さればその部屋一ツだけも、屋根の草が....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
が一軒。斜に中空をさして鯉の鱗の背を見るよう、電信柱に棟の霞んで聳えたのがある。
空屋か、知らず、窓も、門も、皮をめくった、面に斉しく、大な節穴が、二ツずつ、がッ....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
てますッて、ここまで連れて来るから、途中で小用も出来ずさね、早い話が。 隣家は
空屋だと云うし、……」 と、頬被のままで、後を見た、肩を引いて、 「一軒隣は按....
「犬」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
の側で、後脚で立ち上がって、爪で入口の戸をかりかりと掻いたのであった。最早別荘は
空屋になって居る。雨は次第に強くふって来る。秋の夜長の闇が、この辺を掩うてしまう....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
「心得てるさ、ちっとも気あつかいのいらないように万事取計らうから可いよ。向うが
空屋で両隣が畠でな、聾の婆さんが一人で居るという家が一軒、……どうだね、」と物凄....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
屋を明渡したんでございますよ。) いかにも、この別亭が住居らしい。どこを見ても
空屋同然な中に、ここばかりは障子にも破れが見えず、門口に居た時も、戸を繰り開ける....
「穴」より 著者:岡本綺堂
るであろう。殊に維新以後はその武家屋敷の取毀されたのもあり、あるいは住む人もない
空屋敷となって荒れるがままに捨てて置かれるのもあるという始末で、さらに一層の寂寥....
「有喜世新聞の話」より 著者:岡本綺堂
新の革命で武家というものが皆ほろびてしまったのであるから、そこらには毀れかかった
空屋敷が幾らもある。持ち主が変っても、その建物は大抵むかしのままであるから、依然....
「活人形」より 著者:泉鏡花
「種々不思議がありますので、第一ああいう大な家に、棲んでいる者がございません。「
空屋かね、「いえ、そこんところが不思議でごすて。ちゃんと門札も出ておりますが何者....