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空席
「空席〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
空席の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「路上」より 著者:芥川竜之介
視線を漂わせていると、気の利《き》いた給仕が一人、すぐに手近の卓子《テエブル》に
空席があるのを教えてくれた。が、その卓子《テエブル》には、すでに実業家らしい夫婦....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
んな吊皮の下に坐っているのが、いけないのだろうと思いましたから、向う側の隅にある
空席へわざわざ移りました。移って、ふと上を見ると、今まで揺られていた吊皮が突然造....
「或る女」より 著者:有島武郎
うに、軽い微笑を右の頬《ほお》だけに浮かべながら、古藤に続いて入り口に近い右側の
空席に腰をおろすと、あでやかに青年を見返りながら、小指をなんともいえないよい形に....
「ある宇宙塵の秘密」より 著者:海野十三
昇格が自分の心を苦しめるのだ。渋谷先生が三年前に亡くなられて、テレビジョン講座に
空席が出来たればこそ、自分のような若い者が教授になれたのである。それが変に心苦し....
「妖術」より 著者:泉鏡花
し、実はどちらでもなかった、と渠は云う。 乗合いは随分|立籠んだが、どこかに、
空席は、と思う目が、まず何より前に映ったのは、まだ前側から下りないで、横顔も襟も....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
して自殺を選んだものだと。因みにT市財政は既に破綻に瀕せる重大危機にあって市長を
空席にするは一日も許されざる事情にあるを以て、早くも後任市長の候補者が話題に上っ....
「麻雀殺人事件」より 著者:海野十三
に病人ばやりだな」と星尾が呟いて、意味なく笑った。 一本歯の抜けたような松山の
空席が、帆村の眼に或る厭な気持をよびおこさしめた。それは不吉な風景である。折角こ....
「省線電車の射撃手」より 著者:海野十三
注意を払っています。弾丸が向いの窓を通ったと思わせるために、被害者の前面には必ず
空席をちょっと明けて置きました。射殺地点の一致は、車外に正確な器械があるのだと思....
「怪星ガン」より 著者:海野十三
しておいてあった。そこで席についてみるとふしぎなことがわかった。隊員たちは一つの
空席をおいてとなり合って席をとるようになっていた。 「みょうなことをしたもんだね....
「四次元漂流」より 著者:海野十三
。聞えるのは怪紳士の靴がかすかに床をする音ばかりであった。 道夫は、机の向うの
空席の椅子に、かの怪紳士が腰をかけるのだろうと予期していた。ところが彼の靴音はそ....
「流線間諜」より 著者:海野十三
と突然、音楽の曲目が違った。 「起立!」 という号令が掛る、とたんに、いままで
空席だった唯一つの机の前に、ボンヤリと人影が現れたかと思うと、それが次第にハッキ....
「村芝居」より 著者:井上紅梅
、舞台の下にたくさんの頭を見たが、よく気をつけて見なおすと、まん中にまだ幾つかの
空席があったから、そこへ行って坐ろうとした時、わたしに向って、何か言った者があっ....
「瘤」より 著者:犬田卯
力にはならず、杉谷助役でさえどれだけの肚をもっているのか――恐らく二年間の村長の
空席には、自然と自分がのし上るべきものと取らぬ狸の……をきめ込んでいた矢先へ、の....
「古い記憶を辿って」より 著者:上村松園
方の側が陽が照って来ましたので、「こちらへおかけやす」と、その時、春挙さんの隣に
空席が出来たので、おとなりにかけました。ちょうどラジオで放送された直後の事でした....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
旧教の方勢力あるに似たり。さらにほかの新教の寺に詣するに、これまた堂内三分の二の
空席を余す。聞くところによるに、当日は久しぶりの快晴にて、早天より野外に遊動に出....