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空恐ろしい
「空恐ろしい〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
空恐ろしいの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
まで響いていた音楽は、その瞬間ぱったり静まってしまって、耳の底がかーんとするほど
空恐ろしい寂莫《せきばく》の中に、船の舳《へさき》のほうで氷をたたき破《わ》るよ....
「二つの道」より 著者:有島武郎
もく》の涼しい、額の青白い、夜のごとき喪服を着たデンマークの公子と面を会わせて、
空恐ろしいなつかしさを感ずるではないか。
いかなる人がいかに言うとも、悲劇が人....
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
すると、夫々処分も定まるだろう。
何しろ余り莫大の宝だから此の上茲に長居するは
空恐ろしい、余は第一号の箱をも成可く元の通りに蓋をして、手燭を以て先に進む秀子の....
「尼になった老婆」より 著者:田中貢太郎
て、仏罰を恐れないのか、なんと云う後生の悪いことをする婆さんだ、と、怒るよりは、
空恐ろしい思いをしましたところで、婆さんの頭は突き戻されるようにお駕籠の中から出....
「政談十二社」より 著者:泉鏡花
、神様、仏様にはどんな御罰を蒙るか知れません。 憎らしい鼻の爺は、それはそれは
空恐ろしいほど、私の心の内を見抜いていて、日に幾たびとなく枕許へ参っては、 (女....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
のでございます。 が、一|方にかくうれしさがこみあぐると同時に、他方には何やら
空恐ろしいような感じが強く胸を打つのでした。何にしろここは幽界、自分は今修行の第....
「カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
一日に経験したあらゆる悩ましい矛盾の中から、一つのだいたいの観念を組み立てるのが
空恐ろしいように思われた。何かほとんど絶望そのものと境を接しているような、あるも....
「魔都」より 著者:久生十蘭
ってしまった。かりにそのような事態に立ち到ったとしたら、その結果こそ思いやるだに
空恐ろしい極みである。政府の全機能を挙げても未然に皇帝暗殺の陰謀を阻止し、明朝午....
「巷説享保図絵」より 著者:林不忘
のように邪気のない、おせい様のほがらかな声がしていた。ああいう人をだますなんて、
空恐ろしいとは思わないかしらとお高は思った。
お高は一度往来へ出て、そこからそ....
「かもじの美術家」より 著者:神西清
うことですわい。いかにわしが坊主であるとはいえ、あの人の残忍非道の仕打ちはやはり
空恐ろしいでな。いやいや、何ごとも神のみ心のままじゃ、――ものはついでじゃ、もう....
「真珠の首飾り」より 著者:神西清
は空恐ろしく思うがいいぜ。」 「だって、すこしも」と家内はすましたもので、――「
空恐ろしいことなんかありませんわ。何しろわたしは、二人ともよく知っていますもの。....
「藤十郎の恋」より 著者:菊池寛
した訳からでもあった。 従って、彼は、過去の経験から、人妻を盗むような必死な、
空恐ろしい、それと同時に身を焼くように烈しい恋に近い場合を、色々と尋ねてみたが、....
「夫人利生記」より 著者:泉鏡花
屋は、稚いのを憐れがって、嘘で庇ってくれたのであろうも知れない。――思出すたびに
空恐ろしい気がいつもする。 ――おなじ思が胸を打った。同時であった、――人気勢....
「墓が呼んでいる」より 著者:橘外男
を上げて叫びたいような気がしてきます。が、無人の境では、大声を上げることさえ何か
空恐ろしいような気がして、私はまた起ち上がりました。 もう一度引っくり戻って、....
「富籤」より 著者:神西清
はねかけられたように、鳩尾のところに冷やりと実にいい気持がした。擽ったいような、
空恐ろしいような、妙に甘ったるい気持がした。 「マーシャ、あったぞ、九四九九が!....