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「空明〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

空明の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
云った。 「親分、お鎌はいませんよ」 「家《うち》にいねえのか」 「荒物屋の店は空明《がらあ》きで、何処へ出て行ったのか近所の者も知らねえと云うのです。なにしろ....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
いうのですが、どうしたのでしょうかね」 異人の騒ぎで、ここらの者はいずれも家を空明《がらあ》きにして駈け出した。その留守のあいだに、二匹の馬が紛失したのである....
中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
か考え付いた。都の渾天寺は今や工事中で、役夫が数百人もあつまっている。その一室を空明きにさせて、まん中に大|瓶を据えた。それから又、多年召仕っている僕二人を呼ん....
縮図」より 著者:徳田秋声
近く流れを二つに分けている洲の方に、人家の灯がちらちらしており、水のうえに仄かな空明りが差して、幾軒かの汽船会社の倉庫が寒々と黒い影を岸に並べていた。 銀子は....
仮装人物」より 著者:徳田秋声
も、すでに感じの細かい知識をもっていた。 海は暗かった。堆高い沖の方が辛うじて空明りを反映させていた。それに海風も薄ら寒かった。葉子は口笛を吹きながら、のそり....
足迹」より 著者:徳田秋声
差さない草ッ原に連れ出した。足場の悪い草叢にはところどころに水溜りが、ちらちらと空明りに黒く光った。お庄はけたたましい声を立てながら、芳太郎の手に掴まってそこを....
播州平野」より 著者:宮本百合子
ている。四五人の年とった男たちが、それのとりのけ作業をやっていた。 雨の深夜の空明りで二階から見おろした黒い水は、あんなに滔々《とうとう》と沢田の軒下を走って....
松と藤芸妓の替紋」より 著者:三遊亭円朝
直な気性だから、身代限を出す時にも大概の横著の奴なら、道具や何かは親類にこかして空明にして預けて、後でずうッと品物が廻って来るようにと云うのが普通だのに、残らず....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
いるのを、ここでは主膳が食いおわったわけではあるまいが、十人前の椅子のうち八つは空明きになって、その一つに神尾がふんぞり返っていると、それと向い合って、少し下手....
颱風雑俎」より 著者:寺田寅彦
用の出来る資料がないから不明である。しかし自分の経験によると、暴風の夜にかすかな空明りに照らされた木立を見ていると烈風のかたまりが吹きつける瞬間に樹の葉がことご....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
ずから楽しまざる気色のあらわれていることであった。 月の明かるい廊下もその夜は空明きであった。しかし僕は家のまわりをうろつき歩いているうちに、マデライン嬢がひ....
だいこん」より 著者:久生十蘭
たのかなかなか点かない。ホテルも広場も闇の中に沈み、窓ガラスの爆風除けの紙だけが空明りの反射でほの白く浮きあがっている。野毛山のほうから軽そうな飛行機が一機入っ....
あなたも私も」より 著者:久生十蘭
口あたりが、ひときわ暗くなっている。奥のほうをのぞきこんでみたが、しらじらとした空明りの反射だけでは、なにひとつ、たしかに見さだめることはできなかった。 「ヤッ....
つづれ烏羽玉」より 著者:林不忘
立てならべたような甍《いらか》が起伏しているなかに、火見櫓《ひのみやぐら》などが空明りに浮いて見える。 墨絵にはなろうが、淡いさびしさだ。 そのさびしさはや....
釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
「灯を消せ。」 真の暗黒。 透かして見る。夜は、下から見上げるようにすれば空明りに浮び出て物の姿《かたち》がはっきりする。 「犬だ※」はママ] お、白え犬....