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空気枕
「空気枕〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
空気枕の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「虞美人草」より 著者:夏目漱石
に話しかけた。 甲野さんは駱駝《らくだ》の膝掛《ひざかけ》を腰から下へ掛けて、
空気枕の上で黒い頭をぶくつかせていたが 「寒いより眠い所だ」 と云いながらちょっ....
「藁草履」より 著者:島崎藤村
上には青い織物《きれ》が掛けてもあるし、肘突《ひじつき》なんかもあるし、腰掛には
空気枕のようなやつが付いてて、所長の留守に一寸乗って見ると――ぷくぷくしていて、....
「斗南先生」より 著者:中島敦
の乗客がその扉をあけっぱなしにすると言っては、遠慮なく罵った。三造は毛布を敷き、
空気枕をふくらして、伯父の寝やすいようにしつらえた。伯父は窓硝子の方に背をもたせ....
「日は輝けり」より 著者:宮本百合子
。けれども、心の底にはいつでも涙がこぼれそうな悲しさがあった。なけなしの懐から、
空気枕だの菓子などを買って来た浩に対しても、疲れていながら、わざわざ送って来てく....
「一隅」より 著者:宮本百合子
出ていた間に、児供づれの女が前の座席へ来た。反対の側へ移って、包みを網棚にのせ、
空気枕を膨らましていると、 「ああ、ああ、いそいじゃった!」 袋と洋傘を一ツの....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
ので、岩田へ来たかと、逆によみ直したら島田なのでびっくりして、ふくらがしたままの
空気枕をつかんでトランクを車の外へすてるように出して降りました。ふーふーとなって....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
お話のほかです。
早速ですが枕のこと、ききましたらやはりスポンジは入りません。
空気枕だけの由。年中御旅行中とは恐縮ですね。どうしましょう、それを買いましょうか....
「反抗」より 著者:豊島与志雄
彼の眼の中をじっと覗き込んで、それから立ち上って、黙って階下へ下りていった。手に
空気枕を持っていた。 周平はその後姿を、見ぬようにして見送りながら、ぼんやり立....
「林檎」より 著者:豊島与志雄
色を透し見たが、ただ暗澹とした夜だけで、何一つ眼にはいるものもなかった。私はまた
空気枕に頭を押しあてたが、変に不安な気持に頭が冴えて、なかなか眠れそうになかった....
「田舎医師の子」より 著者:相馬泰三
命じ、喰いたくもない食事を命じ、それからひどく疲れたから、などと云って、旅行用の
空気枕を取り出して横になったりしたのであった。 夏の太陽が赤々と燃えて、野の末....
「子をつれて」より 著者:葛西善蔵
の室へあがって行く。…… 「……K君――」 「どうぞ……」 Kは毛布を敷いて、
空気枕の上に執筆に疲れた頭をやすめているか、でないとひとりでトランプを切って占い....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
う、浅緑と名のある名香を、お縫の手で焚いてもらい、天井から釣した氷嚢を取除けて、
空気枕に仰向けに寝た、素顔は舞台のそれよりも美しく、蒲団も掻巻も真白な布をもって....
「挿話」より 著者:徳田秋声
造りをしてくれた。 「こんなものはバスケットがいいんでしょう」お絹はそこにあった
空気枕や膝掛けや、そうした手廻りのものを、手ばしこく纏めていた。 下へおりると....
「食道楽」より 著者:村井弦斎
溜まりません。中には野蛮的の人物が他人の席まで横領して毛布《けっと》を長く拡げて
空気枕をして腰掛の上へ横臥《おうが》するものもありますがあれは自ら好んで塵や細菌....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
奇心に惹かれた眼がまじまじと私達の上に注がれているような気がする。私はひしゃげた
空気枕に息を入れてまた毛布にくるまった。二度目に起き上った時は、竜王続きの山が薄....