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空洞
「空洞〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
空洞の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
光る、平凡な五十三|次風《つぎふう》な景色が、電柱で句読《くとう》を打ちながら、
空洞《うつろ》のような葉子の目の前で閉じたり開いたりした。赤とんぼも飛びかわす時....
「振動魔」より 著者:海野十三
さい。 貴方は、音響振動によって、婦人の堕胎をはかったり、結核患者の病巣にある
空洞を、音響振動を使って、見事に破壊し、結核病を再発させるばかりか、その一命を断....
「間諜座事件」より 著者:海野十三
・ガールの、名前を見付け出したい。その張りきった焦躁で、舞台の方に向けている眼は
空洞になろうとする。 ――いつの間にやら、第三コメディ「砂丘の家」は幕となった....
「春昼」より 著者:泉鏡花
へ附着いて、こう覗いて見たそうにござる。」 「大蛇が顋を開いたような、真紅な土の
空洞の中に、づほらとした黒い塊が見えたのを、鍬の先で掻出して見ると――甕で。 ....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
を半分浸しながら、かんかんと鉄※を敲き落すのである。隣近所でおろす槌の響は、狭い
空洞の中に籠り切って、丁度鳴りはためいて居る大鐘に頭を突っ込んだ通りだ。而して暑....
「地獄の使者」より 著者:海野十三
れてあったが、ただ部屋の中心の皮椅子にもはや鶴彌の惨死体は見当らず、そこが大木の
空洞のようにぽっかりと明いていて、その見えないものが反って一種異様な凄愴な気分を....
「見えざる敵」より 著者:海野十三
た。すると環が縦に二つにパクリと割れた。博士はソッと片側の金環をとりのけた。中は
空洞であった。つまりこの金環は、黄金の管を丸く曲げて環にしてあるものだった。 「....
「七宝の柱」より 著者:泉鏡花
その裡に、古道具をごつごつと積んだ、暗い中に、赤絵の茶碗、皿の交った形は、大木の
空洞に茨の実の溢れたような風情のある、小さな店を指して、 「あの裏に、旦那、弁慶....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
打たれたか、ばらばらと、奥へ遁げる。と果しもなく野原のごとく広い中に、塚を崩した
空洞と思う、穴がぽかぽかと大く窪んで蜂の巣を拡げたような、その穴の中へ、すぽん、....
「神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
、組桟敷のごとく、さながら枝の上に支えていて、下蔭はたちまち、ぞくりと寒い、根の
空洞に、清水があって、翠珠を湛えて湧くのが見える。 銑吉はそこで手を浄めた。 ....
「人体解剖を看るの記」より 著者:海野十三
が済むと、医師は屍体の横に立った。そして今度は、外にならべてあった内臓を一つ一つ
空洞になった胸腔や腹腔のなかに抛りこみはじめた。その内臓の置かれる場所は、正確に....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
、何とか、に相成るのは。」 「あんさんは酔ってですね。」 と涙も忘れて、胸も、
空洞に、ぽかんとして、首を真直に据えながら潟の鮒の碗を冷して、箸をきちんと、膝に....
「迷信解」より 著者:井上円了
べておいた。また、老木が怒鳴するということを聞いておるが、これは多く樹木の体内に
空洞ありて、これに梟のごとき鳥が巣を作り、その中にてうなり声を発するのを誤認した....
「私の履歴書」より 著者:浅沼稲次郎
日前飛んできたB29のまいたビラを読んで、薄々は感づいていたものの、まるで全身が
空洞になったような虚脱感に襲われた。私はこれまで何度か死線をさまよった。早大反軍....
「消えた霊媒女」より 著者:大倉燁子
は茫然として少時の間は無意識状態に陥ってしまって悲しくもなく、恐怖もなく、まるで
空洞の心で目の前の死体を眺めていました。 一時止んでいた雨がまた降り出しました....