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空耳
「空耳〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
空耳の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
ちょいと耳を澄ませて見た。が、寂しい往来には、犬の吠える声さえ聞えなかった。
「
空耳《そらみみ》だよ。何が呼んでなんぞいるものか。」
「気のせいですかしら。」
....
「雪後」より 著者:梶井基次郎
た。しかし速力が緩み、風の唸《うな》りが消え、なだらかに橇が止まる頃には、それが
空耳だったという疑惑が立|罩《こ》める。 「どうだったい」 晴ばれとした少年の....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
不思議に思った。なんだか気味が悪いようにも感じた。今まで聞こえていた物音は自分の
空耳《そらみみ》であったのか、あれほどの格闘《かくとう》が俄かにひっそりと鎮まる....
「振動魔」より 著者:海野十三
ように思った。耳のせいかしらと、疑いながら、じッと耳を澄ませていると、いやそれは
空耳ではなかった。たしかに人声がするのだ。しかもそれは此の家の中から洩れ出でる話....
「三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
にしと/\と降っているばかりです。阿部さんは再び自分の臆病を笑って、これもおれの
空耳であろうと思いながら、その櫛を川のなかへ投げ込みました。 「置いていけと云う....
「青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
あ、琵琶の音がきこえる。」 それが羊得にはちっともきこえないので、大方おまえの
空耳であろうと打ち消したが、張訓はどうしても聞えると言い張った。しかもそれは自分....
「四日間」より 著者:ガールシンフセヴォロド・ミハイロヴィチ
た。 全く敗亡て、ホウとなって、殆ど人心地なく臥て居た。ふッと……いや心の迷の
空耳かしら? どうもおれには……おお、矢張人声だ。蹄の音に話声。危なく声を立てよ....
「錦染滝白糸」より 著者:泉鏡花
高い、白い駒、空におがんでいなければならないんだのに。女にうまれた一生の思出に、
空耳でも、僻耳でも、奥さん、と言われたさに、いい気になって返事をして、確に罰が当....
「月世界競争探検」より 著者:押川春浪
せていたが、東助は声を潜めて、 「あの声は何でしょう。」 「さあ。」 と、始めは
空耳ではないかと、耳を澄ますと、その唸り声は尚聞える。静かな、湿っぽい、洞穴に、....
「くろん坊」より 著者:岡本綺堂
ても、何かの怪物が歯をむき出して嘲り笑っているような、気味の悪い声である。もしや
空耳ではないかと、叔父は自分の臆病を叱りながら幾たびか耳を引っ立てたが、聞けば聞....
「鷲」より 著者:岡本綺堂
着のみ着のままでひやかし半分に駈けだすのもあった。 出て見ると、それは弥太郎の
空耳ではなかった。昼のように明るい冬の月が晃々と高くかかって、碧落千里の果てまで....
「真鬼偽鬼」より 著者:岡本綺堂
声ではあったが、雨の音にまじって確かに自分の耳にひびいたのである。それとも自分の
空耳で、あるいは雨か風か水の音を聞きあやまったのかも知れないと、彼は半信半疑で又....
「なよたけ」より 著者:加藤道夫
。……… 文麻呂 (その声にふと我に返り、あたりを見廻すが、暗くてよく分らない。
空耳かな、とも思う) 瓜生ノ衛門 お坊ちゃま。………ここですよ。こちらでございま....
「父の怪談」より 著者:岡本綺堂
。起って障子をあけてみると、誰もいない。そんなことが四、五日あったが、父は自分の
空耳かと思って、別に気にも留めなかった。 ある晩、母が夜なかに起きて便所へ行っ....
「鉄の処女」より 著者:大倉燁子
ないんだからな』 『だって確にこの眼で見て、この耳でお声を聞いたんですもの』 『
空耳ってこともある、幻想を見ることもある。この世に生存していない人間が見えたりす....