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空腹
「空腹〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
空腹の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「仙人」より 著者:芥川竜之介
いない。風雪《ふうせつ》の一日を、客舎《はたご》の一室で、暮らす時に、彼は、よく
空腹をかかえながら、五匹の鼠に向って、こんな事を云った。「辛抱《しんぼう》しろよ....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
は梢《こずえ》の山鳩《やまばと》を眺めながら、弓矢を忘れて来た事を後悔した。が、
空腹を充すべき木《こ》の実《み》は、どこにでも沢山あった。
日の暮は瞼《けわ》....
「俊寛」より 著者:芥川竜之介
だばら》の、乳糜《にゅうび》の供養《くよう》を受けられたではないか? もしあの時
空腹のまま、畢波羅樹下《ひっぱらじゅか》に坐っていられたら、第六天の魔王|波旬《....
「或る女」より 著者:有島武郎
平気で受けて「困ったやつに見込まれたものだが、見込まれた以上はしかたがないから、
空腹《ひもじ》がらないだけの仕向けをしてやるがいい」というに違いない事は、葉子に....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
「大分御執心のようだが、どうした。」 と、め組のその素振に目を着けて、主税は
空腹だというのに。…… 「後姿に惚れたのかい。おい、もう可い加減なお婆さんだぜ。....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
れでも夕飯という声を聞き、戸のすきから漏れる焼きざかなのにおいをかぐと、君は急に
空腹を感じだした。そして腰に結び下げた弁当包みを解いてストーブに寄り添いながら、....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
ン一片入れて飲め無えじゃ、人間って名は附けられ無えかも知れ無えや。 昨夕もよ、
空腹を抱えて対岸のアレシキに行って見るとダビドカの野郎に遇った。懐をあたるとある....
「紅玉」より 著者:泉鏡花
気よく馬肉で呷った酒なら、跳ねも、いきりもしようけれど、胃のわるい処へ、げっそり
空腹と来て、蕎麦ともいかない。停車場前で饂飩で飲んだ、臓府がさながら蚯蚓のような....
「木の子説法」より 著者:泉鏡花
……あとはただ真白な……冷い……のです。冷い、と極めたのは妙ですけれども、飢えて
空腹くっているんだから、夏でも火気はありますまい。死ぎわに熱でも出なければ――し....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
くひくせずと堪えくされ。雪女が寒いと吐すと、火が火を熱い、水が水を冷い、貧乏人が
空腹いと云うようなものだ。汝が勝手の我ままだ。」 「情ない事おっしゃいます、辛う....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
この大雪に、乗らない車坂あたりを段々に、どんな顔をしていよう。名を聞いただけでも
空腹へキヤリと応える、雁鍋の前あたりへ……もう来たろう。 お京の爪皮が雪を噛ん....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
と辛抱なさいよ。」 「お稲さん。」 「ええ。」となつかしい低声である。 「僕は大
空腹。」 「どこかで食べて来た筈じゃないの。」 「どうして貴方に逢うまで、お飯が....
「野のはくちょう」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
さまのことをおもいました。ほんとうに神さまは、そこへ野生のりんごの木をならせて、
空腹をしのがせてくださいました。神さまはエリーザに、なかでもいっぱいなったりんご....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
ら嬉しく得意になって、鬨をつくり、ときどき地面を足で引っかき、それから、いつでも
空腹をかかえている女房や子供たちを呼んで、自分が見つけた見ごとな餌をご馳走してや....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
のようで、ですから、これだって身の皮を剥いでくれたほどの深切です。何しろ、ひどい
空腹の処へ、素的に旨味そうだから、ふうふう蒸気の上る処を、がつがつして、加減なし....