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空蝉
「空蝉〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
空蝉の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「婦系図」より 著者:泉鏡花
うへ押しながら、膝を敷居越に枕許。 枕についた肩細く、半ば掻巻を藻脱けた姿の、
空蝉のあわれな胸を、痩せた手でしっかりと、浴衣に襲ねた寝衣の襟の、はだかったのを....
「小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
今日このごろは、せめて小供の昔にかえりて、物見遊山もわれから進み、やがて消ゆべき
空蝉の身には要なき唐織り物も、末は妹に紀念の品と、ことに華美なるを選みしなり。 ....
「断層顔」より 著者:海野十三
の所在だった。 老探偵は甥と肩を並べて、その近くまでを|動く道路に乗って行き、
空蝉広場から先を、歩道にそってゆっくり歩いていった。 このあたりは五年ほど前に....
「薬草取」より 著者:泉鏡花
に抱かれたから、一生懸命に緊乎縋り着くと、背中へ廻った手が空を撫でるようで、娘は
空蝉の殻かと見えて、唯た二晩がほどに、糸のように瘠せたです。 もうお目に懸られ....
「鷭狩」より 著者:泉鏡花
で、微酔で、夜具に凭れていたろうではないか。 正の肌身はそこで藻抜けて、ここに
空蝉の立つようなお澄は、呼吸も黒くなる、相撲取ほど肥った紳士の、臘虎襟の大外套の....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
、後は、」 と美しい女は、白い両手で、確と紫の襟を圧えた。 「死骸になっての、
空蝉の藻脱けた膚は、人間の手を離れて牛頭馬頭の腕に上下から掴まれる。や、そこを見....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
く段取だから、急ぐにゃ当らねえ。別して先方は足弱だ。はてな、ここらに色鳥の小鳥の
空蝉、鴛鴦の亡骸と言うのが有ったっけと、酒の勢、雪なんざ苦にならねえが、赤い鼻尖....
「茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
い合せたように、音の無い草鞋を留めた。 この行燈で、巣に搦んだいろいろの虫は、
空蝉のその羅の柳条目に見えた。灯に蛾よりも鮮明である。 但し異形な山伏の、天狗....
「活動写真」より 著者:淡島寒月
の俳優に対する好き好きがあろうから無駄な事だが、私は過日帝国館で上場された改題「
空蝉」の女主人公に扮したクララ・キンベル・ヤング嬢などは、その技芸において頗る秀....
「源氏物語」より 著者:紫式部
硯《すずり》を取り寄せて手紙らしい手紙でなく無駄《むだ》書きのようにして書いた。
空蝉《うつせみ》の身をかへてける木《こ》のもとになほ人がらのなつかしきかな ....
「源氏物語」より 著者:紫式部
ある女を見つけ出すことがあればうれしいに違いないと源氏は思うのである。 源氏は
空蝉《うつせみ》の極端な冷淡さをこの世の女の心とは思われないと考えると、あの女が....
「源氏物語」より 著者:紫式部
をしてしまったりするのもあったりして、話をかけたままになっている向きも多かった。
空蝉《うつせみ》が何かのおりおりに思い出されて敬服するに似た気持ちもおこるのであ....
「源氏物語」より 著者:紫式部
り》すらなくて、筑波《つくば》おろしに落ち着かぬ心を抱きながら消息の絶えた年月を
空蝉《うつせみ》は重ねたのである。限定された国司の任期とは違って、いつを限りとも....
「源氏物語」より 著者:紫式部
あかし》夫人のが選ばれたのを見て、紫夫人は侮辱されたのに似たような気が少しした。
空蝉《うつせみ》の尼君には青鈍《あおにび》色の織物のおもしろい上着を見つけ出した....
「なよたけ」より 著者:加藤道夫
問はただの装飾です。いくら紅の綾の単襲をきらびやかに着込んだって、魂の無い人間は
空蝉の抜殻です。僕達はこの時代の軟弱な風潮に反抗するんです。そして雄渾な本当の日....