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「空蝉の〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

空蝉のの前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
婦系図」より 著者:泉鏡花
うへ押しながら、膝を敷居越に枕許。 枕についた肩細く、半ば掻巻を藻脱けた姿の、空蝉のあわれな胸を、痩せた手でしっかりと、浴衣に襲ねた寝衣の襟の、はだかったのを....
小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
今日このごろは、せめて小供の昔にかえりて、物見遊山もわれから進み、やがて消ゆべき空蝉の身には要なき唐織り物も、末は妹に紀念の品と、ことに華美なるを選みしなり。 ....
薬草取」より 著者:泉鏡花
に抱かれたから、一生懸命に緊乎縋り着くと、背中へ廻った手が空を撫でるようで、娘は空蝉の殻かと見えて、唯た二晩がほどに、糸のように瘠せたです。 もうお目に懸られ....
鷭狩」より 著者:泉鏡花
で、微酔で、夜具に凭れていたろうではないか。 正の肌身はそこで藻抜けて、ここに空蝉の立つようなお澄は、呼吸も黒くなる、相撲取ほど肥った紳士の、臘虎襟の大外套の....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
、後は、」 と美しい女は、白い両手で、確と紫の襟を圧えた。 「死骸になっての、空蝉の藻脱けた膚は、人間の手を離れて牛頭馬頭の腕に上下から掴まれる。や、そこを見....
茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
い合せたように、音の無い草鞋を留めた。 この行燈で、巣に搦んだいろいろの虫は、空蝉のその羅の柳条目に見えた。灯に蛾よりも鮮明である。 但し異形な山伏の、天狗....
源氏物語」より 著者:紫式部
い着古しになっていなかったろうかなどと思いながらもその人の愛が身に沁《し》んだ。空蝉のしている煩悶《はんもん》は複雑だった。 西の対の人も今朝《けさ》は恥ずか....
源氏物語」より 著者:紫式部
の愚かさを左馬頭《さまのかみ》の言ったのは真理であると思うと、源氏は自分に対して空蝉の冷淡なのは恨めしいが、この良人《おっと》のためには尊敬すべき態度であると思....
源氏物語」より 著者:紫式部
しかった点でも、恋しかった点でも源氏には忘れがたい人であったから、なおおりおりは空蝉の心を動かそうとする手紙を書いた。そのうち常陸介《ひたちのすけ》は老齢のせい....
源氏物語」より 著者:紫式部
るかな と源氏は独言したが、鼻の赤い夫人は何のこととも気づかなかったであろう。空蝉の尼君の住んでいる所へ源氏は来た。そこの主人らしくここは住まずに、目だたぬ一....
源氏物語」より 著者:紫式部
みやはする この歌が添えられてあった。お返事、 羽衣のうすきにかはる今日よりは空蝉の世ぞいとど悲しき 賀茂祭りの日につれづれで、 「今日は祭りの行列を見に出....
なよたけ」より 著者:加藤道夫
問はただの装飾です。いくら紅の綾の単襲をきらびやかに着込んだって、魂の無い人間は空蝉の抜殻です。僕達はこの時代の軟弱な風潮に反抗するんです。そして雄渾な本当の日....
三国志」より 著者:吉川英治
心に銘じてはおるが、心はつねに劉皇叔の上にあって、都にはない。ここにいる関羽は、空蝉のようなものでござる」 「ははあ、……」と、張遼は、そういう関羽をしげしげ眺....