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空身
「空身〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
空身の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
上《しんしょう》をみんな投げ出して、親類の人たちにあとの始末をいいように頼んで、
空身《からみ》で生まれ故郷を立ち退くことになったのさ。
空身といっても千両ほどの金....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
の言葉をうけて、わしは宮司さまから頼まれて迎えにまいった近所のものでございます、
空身ですから荷物を持って行きましょう、とその若者が言ってくれる、お民の方ではそれ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
いわけにはゆきません。 彼等は言い合せたように、三人五人かたまって行きました。
空身《からみ》であるのもあったけれども、竹刀《しない》と道具とを荷《にな》ってい....
「小祝の一家」より 著者:宮本百合子
そ勇とかつかつの時刻に家の近くまで戻って来ると、祖父ちゃんは用心して裏の露路から
空身《からみ》で入り、お石のいないのを確かめて表へ乳母車を押してまわった。一度か....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
入り支度をして、とどこおりなく加賀屋へ乗り込んだ。そういう事情で、豪家の娘が殆ど
空身同様で乗り込んできたのであるから、その支度料として親許から千両の金を送ってよ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
十三 それからまたやや暫くの後、この屋敷から現われた二人の者の一人は、
空身になった米友に相違ないが、もう一人の方は、これも確かに岡崎藩の美少年には相違....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
せんらく》した――と思いのほか!
刀下一寸にして側転した栄三郎神変夢想でいう心
空身虚、刹那に足をあげたと見るや、栄三郎グッ! と、平七郎のわきばらを一つ、見事....
「塩原多助一代記」より 著者:三遊亭円朝
の方へ退りますゆえ、 多「青、困るべえじゃねえか、ヤイ青、荷を皆な下してしまって
空身に成てゝ歩けねえ事はあんめえ、遅く帰ると母様に叱られるから急いでくんろよ、そ....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
、誰もいない」 気がついて自分の手もとを見た。そこでまた彼は「あっ」といった。
空身であった彼の手が、変な物を持っていた。 「なんだこれは?」とすかして見たが、....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
し担いにして歩くことはおろか、風呂敷包み一つさえも身には附けられぬほどの大混雑、
空身でなければ身動きも出来ない。所詮は生命さえも危ないという恐ろしい修羅場になっ....
「抱茗荷の説」より 著者:山本禾太郎
町に出て子守奉公をするようになったが、君子は子守がいやでしかたなかった。ある日|
空身でなんの当てもなく町はずれに出てみると、そこの空地に夫婦者らしい旅芸人が人を....
「三国志」より 著者:吉川英治
き合い、押し合ううちに、二つの体は、はね躍った馬の背から大地へころげ落ちていた。
空身となった奔馬は、たちまち、何処ともなく馳け去ってしまう。 組んず、ほぐれつ....
「三国志」より 著者:吉川英治
数百人のほかの仲間へ、 「おぬしらの荷は、みなわしが担ってやるぞ。わしのおる限り
空身も同様じゃ。さあ続いてこい」 風のように先へ走りだした。 一荷でも失って....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
あてもなく歩き出した。不意に西の頂上の記念碑の前に人影が顕われる、双眼鏡で覗くと
空身の金作と源次郎である、暢気らしくお宮の扉を開けて見たりなどしている。間近の岩....
「黒部川を遡る 」より 著者:木暮理太郎
く予想しなかった。例えば食料品を持った若者の荷は、日毎に其量を減じて、果ては殆ど
空身にも等しくなるが、天幕や毛布などでいつも重い長次郎等の荷を分担しようとはしな....