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空転
「空転〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
空転の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「人間失格」より 著者:太宰治
うから可愛い」 冗談ではないのだ、本当なんだ、ああ、あの絵を見せてやりたい、と
空転の煩悶《はんもん》をして、ふいと気をかえ、あきらめて、 「漫画さ。すくなくと....
「海に生くる人々」より 著者:葉山嘉樹
プが踊り出る、舵機《だき》は非常にその効力を減じられる。速力は今ではもう推進器の
空転の危険から、ほとんど三マイルぐらいに減じられて、ただ船首を風の方向から転換し....
「如是我聞」より 著者:太宰治
ではなく、その習得を抛棄した覚えがある。あの不健康な、と言っていいくらいの奇妙に
空転したプライドの中に君たちが平気でいつも住んでいるものとしたら、それは或いは、....
「十五年間」より 著者:太宰治
い。それらの主義が発明された当初の真実を失い、まるで、この世界の新現実と遊離して
空転しているようにしか思われないのである。 新現実。 まったく新しい現実。あ....
「鎮魂歌」より 著者:原民喜
僕に呻吟してゆく。この仮想は僕なのだろうか。この罪ははたして僕なのだろうか。僕は
空転する。僕の核心は青ざめる。めそめそとしたものが、割りきれないものが、皮膚と神....
「ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
がイヨイヨやり切れなくなってヘタバリ込む。恋しい意識がイヨイヨ完全に遊離して活躍
空転する。ますます発狂の度合が深くなる。……往来へ馳け出す……取押えられる。鉄の....
「難船小僧」より 著者:夢野久作
にヤット波の絶頂まで登り詰めてホットしたと思う束の間に、又もスクリュウを一シキリ
空転さして、潮煙を捲立てながら、文字通り千仭の谷底へ真逆落しだ。これを一日のうち....
「旅愁」より 著者:横光利一
ないと思い、柔い砂を靴先で蹴り蹴り歩いた。樹間の黄色な天蓋の下でメリゴラウンドが
空転しつつ光っていた。千鶴子は樹の間のほの白い蕾を見廻し、
「でも、もうすぐ、マ....
「雀」より 著者:太宰治
の密度が濃いからであろうか。日本人というのは、外国へ行くと足が浮いて、その生活が
空転するという宿命を持っているのであろうか。内地にいる時と、外地にいる時と、自分....
「人間性・政治・文学(1)」より 著者:宮本百合子
ば「明らかに盲目と無力という言葉が日本の作家に冠せられても仕方がない」(「歯車の
空転」)伊藤整のこの感想は共感される。彼に「いまの文学のゆがみ」は明らかに意識さ....
「若い娘の倫理」より 著者:宮本百合子
ああもこうも考える力をもっていると云うならば、その考える力を輾転反側の動力として
空転《からまわ》りさせないで、考える力をあつめて、生涯を貫く一つの何かの力として....
「失われた半身」より 著者:豊島与志雄
も大切なのは、現実だ。先ず現実を直視し、掘り返さなければ、いつまでたっても精神の
空転に終る。」 「然し、現実を整理するのは……。」 「もう分ったよ。現実を整理す....
「ヤミ論語」より 著者:坂口安吾
語っている。 これだけの報道で事件を批判するのは甚だしく不完全であるけれども、
空転する観念から殺人という行動へ飛躍し、その飛躍をさらに理論づけようとする現代の....
「街はふるさと」より 著者:坂口安吾
、何かを思い当て得るような根拠ある思考力を自覚することすらもできない。なんとなく
空転し、いつまでも空虚なものを自覚しうるだけである。 もしも、何か思い当ること....
「範疇の発生学」より 著者:戸坂潤
理解する態度ともなって現われる。そこで折角の歴史の媒介は無用となり、歴史の車輪は
空転したこととなる。まず第一に範疇のこういう誤った使用法を、我々は一つの反動と名....