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「空閨〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

空閨の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
安井夫人」より 著者:森鴎外
とき、藩主の供をして再び江戸に出て、翌年帰った。これがお佐代さんがやや長い留守に空閨《くうけい》を守ったはじめである。 滄洲翁は中風で、六十九のとき亡くなった....
幸運の黒子」より 著者:海野十三
みはあったにしても、主たる動機は半平という男が細君に死別してからまる二年この方、空閨《くうけい》を貞淑に守りつづけているのを見ちゃいられなかったせいだった。そし....
武装せる市街」より 著者:黒島伝治
打たれた。一番最後に歌った意味は、『老母は愛児の帰りを待ちわび、紅粧の新妻淋しく空閨を守る。』というようなものである。 ――恐らくあのデボチンは、農村に育って....
支倉事件」より 著者:甲賀三郎
殺人罪で死刑を宣告せられた。彼は冤罪を叫んで控訴したが、家には一銭の貯えもない、空閨数年いかでか守り卒えるべき。獄中に呻吟する夫を振り捨て、他に頼るべき人を求め....
ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
は、ドウ見ても支那一流の、思い切った変態性慾じゃないか。あるいは玄宗皇帝時代に、空閨に泣いていた夥しい宮女たちから受けた感化かも知れないが」 「……ですけども、....
琵琶伝」より 著者:泉鏡花
呵せり。 宜しこそ、近藤は、執着の極、婦人をして我に節操を尽さしめんか、終生|空閨を護らしめ、おのれ一分時もその傍にあらずして、なおよく節操を保たしむるにあら....
九条武子」より 著者:長谷川時雨
、注目される婦人となった。武子さんはいよいよ光り、良致さんはよく言われなかった。空閨《くうけい》を守らせるとは怪《け》しからん。と、よく中年の男たちが言っていた....
空家」より 著者:宮崎湖処子
の始めにこの家に嫁《とつ》ぎ、暮に夫に別れしなり、夫が遠征の百日間は、彼は空しく空閨《くうけい》を守りたりしが、夫を待ち得しと思いし日より、なお五十日の間、寂し....
猿ヶ京」より 著者:佐藤垢石
だ在るものは虚偽と虚栄と、冷たい空気ばかりである。来る日も、来る月も、来る年も、空閨の連続である。それでも、婦道を守り姑に仕えて、五、六年は過ぎた。 だが、本....