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穿ち
「穿ち〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
穿ちの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「恩讐の彼方に」より 著者:菊池寛
。 「可哀そうな坊様じゃ。ものに狂ったとみえ、あの大盤石を穿っていくわ。十の一も
穿ち得ないで、おのれが命を終ろうものを」と、行路の人々は、市九郎の空しい努力を、....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
復讐のために、相手の男の妹娘をどこへか隠したのであろうというお広の密告は、少しく
穿ち過ぎた想像ではあるが、そんなことが決してないとは云えない。一途に思いつめた女....
「ネオン横丁殺人事件」より 著者:海野十三
りますよ」と帆村は反駁したのだった。 「うん、そいつはこう考えてはどうか。すこし
穿ちすぎるが、あの夜、おみねは虫尾の寝床で彼の用事を果すと、この部屋に退いた。爺....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
けで満足している。 だのにむす子は真摯な爪を磨いて、堅い芸術の鉄壁に一条の穴を
穿ちかけている。彼は僥倖というよりも、これをむす子の本能と見るよりしか仕方がなか....
「鳥羽伏見の戦」より 著者:菊池寛
ず、また流言ありて、今にも薩長の兵が二条城を来襲して来ると云うので、城壁に銃眼を
穿ち始めると云うさわぎである。 慶喜は、このまま滞京していてはいかなる事変が突....
「近時政論考」より 著者:陸羯南
張せり」と。陸羯南の人となり、真に先生に彷彿たるものあり。峭深の文をもって事情を
穿ち是非を明らかにするは韓非に似て、しかしてしかく惨※ならず。もし不幸にして萎爾....
「血の文字」より 著者:黒岩涙香
あるを見て何うせ碌な人には非ずと思いたり、其事は他ならず、或日目科は当時の流行を
穿ちたる最立派なる服を被かざり胸には「レジョン、ドノル」の勲章を燦めかせて外より....
「武装せる市街」より 著者:黒島伝治
、上海あたりで、既に、たび/\見受けたものだ。 米国は、こっちの野心を、もう、
穿ちすぎるほど穿っているんだ。ポスターを見て、山崎は感じた。 満洲、蒙古、山東....
「土鼠と落盤」より 著者:黒島伝治
の巨大な山の底にいる。昇降機がおりて来る竪坑を中心にして、地下百尺ごとに、横坑を
穿ち、四百尺から五百尺、六百尺、七百尺とだん/\下へ下へ鉱脈を掘りつくし、現在、....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
悩みとをくぐって信仰に入ろうではないか。もっと強く、濃く、深く、鋭く生命を染め、
穿ち、掘り込んで生きてゆこうではないか。「汝ら何すれぞしかく堕落を恐るるや」かく....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
れた単衣、紺染の兵子帯、いが栗天窓、団栗目、ころころと肥えて丈の低きが、藁草履を
穿ちたる、豈それ多磨太にあらざらんや。 島野は悪い処へ、という思入あり。 「お....
「瘠我慢の説」より 著者:石河幹明
の危機に際して、対世界の見地より経綸を定めたりなど云々するも、果して当人の心事を
穿ち得たるや否や。 もしも勝氏が当時において、真実外国干渉の患あるを恐れてかか....
「チチアンの死」より 著者:木下杢太郎
質の衣を着ている。腕はあらわにて、その上膊には蛇形の黄金の環をはめ、サンダアルを
穿ち、黄金の細工の帯を締めている。カッサンドラは灰がかりたる金髪。リザは黄いろき....
「斎藤緑雨」より 著者:内田魯庵
がやはり江戸作者の系統を引いてシャレや小唄の粋を拾って練りに練り上げた文章上の「
穿ち」を得意とし、世間に通用しない「独りよがり」が世間に認められないのを不満とし....
「春雪の出羽路の三日」より 著者:喜田貞吉
は登られそうにもない。例のモンペを借りて袴とはきかえ、足袋の上に借り物のゴム靴を
穿ち、すでに踏み固めてある雪の上を尋ね尋ねして登る。人通りのない所ではゴム靴のみ....