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「突き出す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

突き出すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
口小言《くちこごと》をいいながら婆は起きて来て、明るい月のまえに寝ぼけた顔を突き出すと、待ち構えていた千枝松は蝗《いなご》のように飛びかかって婆の胸倉を引っ....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
行かずに食い止めたのは仕合わせでした。 しかしここに困った事は、三八を表向きに突き出すと、増村の店に迷惑がかかる。見逃がしてしまうと、わたくしが八丁堀の旦那に....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
隠まってくれと云われた時には、さすがの覚光も顔の色を変えて驚いたが、迂濶に善昌を突き出すと、自分の女犯その他の不行跡が残らず露顕する虞れがあるので、迷惑ながらと....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
あ、馬鹿に飲みっぷりがいいぜ、もう一杯たのもう」と、ほかの一人が入れ代って猪口を突き出すと、かれは猶予なしにそれをも飲んでしまった。 それが一種の興をひいたら....
海異記」より 著者:泉鏡花
その時、間の四隅を籠めて、真中処に、のッしりと大胡坐でいたが、足を向うざまに突き出すと、膳はひしゃげたように音もなく覆った。 「あれえ、」 と驚いて女房は....
三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
して、早く立去れ。」 「さあ、行け、行け。」 中間どもは再び平作の腕をつかんで突き出すと、さっきからはら/\しながら見ていた駕籠屋や人足共も一緒になって、色々....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
掘記」の他二冊を脇に取り除け、綸子と尚武革を斜めに貼り混ぜた美々しい装幀の一冊を突き出すと、 「紋章学※」と検事は呆れたように叫んだ。 「ウン、寺門義道の『紋章....
猿飛佐助」より 著者:織田作之助
れも大人げない。それよりも、件の首なき男を探し出して召しとらえ、これ見よと奉行へ突き出すに若かずと思い直して、旅に出たのでござる。旅籠、旅籠で割部屋を所望致せし....
獄中記」より 著者:大杉栄
かれたが、勿論耳には何の障りもない。それでも知らない人は、僕がノートに何か書いて突き出すので、向うでも同じようにそのノートに返事を書いて寄越したりした。 これ....
戦話」より 著者:岩野泡鳴
た。川は水がなかったんで、その川床にずらりと並んで敵の眼を暗ました。鳥渡でも頸を突き出すと直ぐ敵弾の的になってしまう。昼間はとても出ることが出来なかった、日が暮....
人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
して今度は、役者の入っている方を、みんなでかつぎ上げて、きっかけと同時に、ぬうと突き出すという寸法なんですよ。ところが御覧のとおり、浪幕があるものですから、奈落....
オフェリヤ殺し」より 著者:小栗虫太郎
の死の悲しみを忘れ、そうしてまでも、自分だけを庇おうとする――って。結局、風間を突き出すのが、一番いい方法だと云う事は、私にもようく分っているんですの」 そう....
経帷子の秘密」より 著者:岡本綺堂
を返せという。井戸屋でもしまいには持て余して、奉公人どもに言い付けて腕ずくで表へ突き出すと、そのばあさんが井戸屋の店を睨んで、覚えていろ、ここの家はきっと二代と....
」より 著者:犬田卯
勝はひどく汗をたらし息を弾ませながら、やっと父親の立っている足許に鋤簾の先端を突き出すと、ばたりとそこへ竹竿を投げ出した。 「由兄の野郎、ずるいや」と彼は泣き....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
人の肺に比すると大方半分しかなかろうと思います。ですから肺が自然と圧迫されるのか突き出すのか分りませんが、非常に胸膈が苦しくなって来ましてどうもして見ようがなく....