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「突っ掛け〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

突っ掛けの前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
心中浪華の春雨」より 著者:岡本綺堂
《のきあんどう》の下にしょんぼりと立っている六三郎の寂しい影を見た時に、涙がまず突っ掛けるようにこぼれて来た。 「大坂じゅうに隠れのない噂、わたしは残らず聞きま....
青春の逆説」より 著者:織田作之助
「あら、お帰りですの?」女中が玄関へ顔を出した。 豹一はそれに答えず、汚い靴を突っ掛けると、大急ぎで出て行った。犬の遠吠をききながら、住吉線の姫松の停留所まで....
坑夫」より 著者:夏目漱石
て来て、急に地面の上へ出たり、引っ込んだりするんだろう。この凸凹に下駄《げた》を突っ掛ける。烈《はげ》しいときは内臓が飛び上がるようになる。だいぶ難義になって来....
三四郎」より 著者:夏目漱石
た。 「もう少し先だ」 足音は向こうへ遠のいて行く。三四郎は庭先へ回って下駄を突っ掛けたまま孟宗藪の所から、一間余の土手を這《は》い降りて、提灯のあとを追っか....
眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
に入ると、暗くて肩も手も跨ぎかねまい。乳に打着かりかねまい。で、ばたばたと草履を突っ掛けたまま引き返した。 「もう、お上がりになりまして?」と言う。 通いが遠....
暗号の役割」より 著者:海野十三
った八つ手のしげみから放れようとして、蹴つまずいた。足の先に、ずしりと重いものを突っ掛けた。見ると折鞄が落ちていた。 彼はそれを拾いあげて、常夜灯の下まで持っ....
名人地獄」より 著者:国枝史郎
気、それが歌声を囲繞いている」「それは大変だ。急いで行こう」 ありあう庭下駄を突っ掛けると、ポンと枝折戸を押し開けた。往来へ出ると一散に、桝形の方へ走って行っ....
あなたも私も」より 著者:久生十蘭
「なぜ、やれなかったというと、神月は、こうなることと覚悟して、私の車がうしろから突っ掛けて行くのを知りながら、逃げも、走りもしないのだ……女蕩《おんなたら》しも....
釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
の五つというから辰の刻であった。 唐桟《とうざん》の素袷《すあわせ》に高足駄を突っ掛けた勘弁勘次は、山谷の伯父の家へ一泊しての帰るさ、朝帰りのお店者《たなもの....
生不動」より 著者:橘外男
涙ぐんだ甲高い女の叫びがした。 私は、大急ぎで階段を駈け降りて、有合せの下駄を突っ掛けたが、一足躍り出した途端に思わず固唾を呑んで、釘付けになった。 街路の....