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突っ立つ
「突っ立つ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
突っ立つの前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
壁のほうに顔を向けていた、たとえばばらばらと投げられるつぶてを避けようともせずに
突っ立つ人のように。
古藤は何か自分|一人《ひとり》で合点したと思うと、堅く腕....
「長篠合戦」より 著者:菊池寛
い乍ら立ち働いて居るのを見て、昌景、「彼奴は尋常の士ではない、打ち取れ」と馬上に
突っ立つ処に、弾丸、鞍の前輪から後に射通した。采配を口に銜え、両手で鞍の輪を押え....
「若き日の成吉思汗」より 著者:林不忘
児《タイチャル》 兄上、繩を解いてやりましょうか。 札木合《ジャムカ》 (怯えて
突っ立つ)何を言う! こやつの繩をといてたまるものか。不敵な面魂、何をするかわか....
「あの顔」より 著者:林不忘
というでねえか。へえらねえで、軒下に立って、お待ちでごぜえます。」 お久美は、
突っ立つと同時に、濡れるのも構わず、庭を横切って、母屋へ走っていた。 「来るなら....
「石狩川」より 著者:本庄陸男
ませてぴくりぴくりと動かしている。拇指《おやゆび》が蛇の鎌首《かまくび》のように
突っ立つ。人差指は、材木に巣喰《すく》って肥え太った鉄砲虫のように見える。そのと....
「魔都」より 著者:久生十蘭
った一人の人物。今しも有楽町の方へ急カーブを切ろうとする先頭のトラックの真※前に
突っ立つと大手を拡げて、
「待て、待て、俺は野毛山の相模寅造だ。生命にかけてたの....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
近づいて来ると、冷酷そうな、うすい唇をへの字にひきむすんで、ものも言わずにぬうと
突っ立つ。 顎十郎は馬鹿ていねいに腰をかがめ、 「これは藤波先生、遠路のところ....
「わが童心」より 著者:佐藤垢石
秒、二秒。煙の団塊は天宙に向かって発展し、入道雲のようになって丸く太く高く、高く
突っ立つ。 煙の尖端が天に沖して、ある高度まで達すると、その尖端は必ず東の空へ....
「早耳三次捕物聞書」より 著者:林不忘
しいやい。やい、お鉄、手前と一しょに店にいた女はな、あの時番頭に異なこと言われて
突っ立つ拍子に、帯の上前が台の下に引っかかって、手前の貼った珊瑚が帯の中へ落ち込....
「三国志」より 著者:吉川英治
やにわに庭へ投げ捨ててしまった。当然曹操が激怒して、このくそ婆を斬れと、呶号して
突っ立つと、とたんに、老母の手はまた硯をつかんで、はっしと、曹操にそれを投げつけ....
「三国志」より 著者:吉川英治
「…………」 孫権はなお唇をむすんでしばらく鼻腔で息をしていたが、やがて席を
突っ立つや否や、われにも覚えぬような大声でいった。 「斬れっ。斬るのだっ。――そ....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
。……たとえ、置文は焼いて灰となされても」 「しゃッ、この下郎めが」 高氏は、
突っ立つやいな、太刀の鐺に、ぴッと鵯の尾のような神経を見せて。 「おのれ。主人の....
「無宿人国記」より 著者:吉川英治
と見て、丈八が、 「待てっ。一角っ」 と、するどく、ぶつけて、突嗟に、前へ
突っ立つと――分らない――朦朧と靄でも隔てて見るように、 「だ、誰だ」 「酔をさ....