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突合せ
「突合せ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
突合せの前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「芽生」より 著者:島崎藤村
た。雪はまだ深く地にあった。馬車が浅間の麓を廻るにつれて、乗客は互に膝《ひざ》を
突合せて震えた。岩村田で馬車を下りて、それから猶山深く入る前に、私はある休茶屋の....
「新生」より 著者:島崎藤村
《あきさめ》も歇《や》んだ。
岸本は全く見知らぬ仏蘭西人と三等室に膝《ひざ》を
突合せて気味悪くも思わないまでに旅慣れて来たことを感じながら、汽車の窓に近く身を....
「水害雑録」より 著者:伊藤左千夫
室に二十余人、その間に幼いもの三人ばかりを寝せてしまえば、他の人々はただ膝と膝を
突合せて坐しおるのである。 罪に触れた者が捕縛を恐れて逃げ隠れしてる内は、一刻....
「千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
私達は雪の積った崖に添うて乗場の方へ降りた。屋根の低い川船で、人々はいずれも膝を
突合せて乗った。水に響く艪の音、屋根の上を歩きながらの船頭の話声、そんなものがノ....
「家」より 著者:島崎藤村
る人と成った。学校がひける、門を出る、家へ帰ると先ず郵便のことを尋ねる。毎日顔を
突合せている同僚の教師の外には、語るべき友も無かった。 お雪の友達にもと思って....
「S岬西洋婦人絞殺事件」より 著者:夢野久作
ーツに刻印されているその長さと、電燈コードに残っている肩幅と、その膝頭の褶紋とを
突合せられると、流石の音吉も汗ビッショリになって恐れ入ってしまった。 「そこまで....
「怪談牡丹灯籠」より 著者:三遊亭円朝
申上げて仕舞おうか、いや/\若し此の事を表向きに殿様に申上げれば、屹度あの両人と
突合せに成ると、向うには証拠の手紙があり、此方は聞いたばかりの事だからどう云うて....
「古狢」より 著者:泉鏡花
の、蓮池の邸の方とは違うんですか。」 鯛はまだ値が出来ない。山の端の薄に顱巻を
突合せて、あの親仁はまた反った。 「違うんだよ。……何も更めて名のるほどの事もな....
「四十八人目」より 著者:森田草平
」と言いおいたままふたたび出て行った。 その後で、勘平と小平太とはしばらく顔を
突合せていた。小平太には、何よりもこうして同志の者と向い合って、落着かぬのに落着....
「魔都」より 著者:久生十蘭
顔を眺めていたが、ああ、といって急に立上ってスラスラと花の傍へやって来ると、膝を
突合せるように坐って、
「思わず見とれちゃった」
と首を傾げて顔をのぞき上げる....
「緑衣の女」より 著者:松本泰
を細い指先に挟んで、軽い煙をあげている。隅の卓子《テーブル》では二人の青年が鼻を
突合せて何事か熱心に喋合っていた。 泉原は髪の毛のちゞれた女給仕《ウェートレス....