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突角
「突角〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
突角の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
は、真闇《まっくら》な窪地に、急な勾配《こうばい》を取って下っていた。彼らはその
突角《とっかく》まで行ってまた立停った。遙か下の方からは、うざうざするほど繁り合....
「趣味の遺伝」より 著者:夏目漱石
われた。時は午後一時である。掩護《えんご》のために味方の打ち出した大砲が敵塁の左
突角《ひだりとっかく》に中《あた》って五丈ほどの砂煙《すなけむ》りを捲《ま》き上....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
きよせて、すぐ自分の仕事にかかった。 やがて行く手の波の上にぼんやりと雷電峠の
突角が現われ出した。山脚は海の中に、山頂は雲の中に、山腹は雪の中にもみにもまれな....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
スとその伴侶との礼拝所なるポルチウンクウラの小龕の灯が遙か下の方に見え始める坂の
突角に炬火を持った四人の教友がクララを待ち受けていた。今まで氷のように冷たく落着....
「田原坂合戦」より 著者:菊池寛
て、半腹の屈曲をなし、坂の両側は皆谷にて谷の内の両側は切り崖、樹木茂る。この険の
突角の所を撰びて、賊は砲塁を二重にも三重にも構へ、土俵が間に合はぬとて、百姓共が....
「近世快人伝」より 著者:夢野久作
たので、奈良原典獄は直ぐに駈付けて手配をさせた。そうして自身は制服のままお台場の
突角に立って海上を見渡していると、やや暫くしてから足下の石垣をゾロゾロ匐い登って....
「谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
上廻り途して、頂上へと達した。 そこからまた下りになって、尾根へつづく、尾根の
突角は屋根の瓦のように、平板に剥げた岩石が、散乱している、嘉代吉は偃松の下で、破....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
シ、アテネ、アレキサンドリア。 翌日は、バグダット、バスラを過ぎアラビヤ半島の
突角にある“Sharjah”へ着いたのが深更の二時。荒い城壁にかこまれた、沙漠中....
「死者の書」より 著者:折口信夫
。滋賀津彦。其が、おれだったのだ。 歓びの激情を迎えるように、岩窟の中のすべての
突角が哮びの反響をあげた。彼の人は、立って居た。一本の木だった。だが、其姿が見え....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
こちらへ出て来ました。 ずんずんこちらへ歩いて来て、お雪ちゃんと当面の巌の直ぐ
突角《とっかく》のところまで来ると、そこにずっと結びめぐらしてあった丸太の手すり....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
五年には今日あるよりはもっとりっぱにできていた。その後にこわされた様々な構造は、
突角|堡《ほ》や稜角《りょうかく》や凸《とつ》出角などをなしていたものである。
....
「紅毛傾城」より 著者:小栗虫太郎
朝、層雲の間から、不思議なものが姿を現わした。 その暗灰色をした、穂槍のような
突角が、ベーリング島の南端、マナチノ岬であった。 そこは、宿る木一つとない、無....
「だいこん」より 著者:久生十蘭
突きあげて、ヒップのあたりがくすぐったい。ひとりでに笑いだしそうになる。 岬の
突角をまわったすぐ裏に、びっくりするような大きな軍艦が一隻、傾《か》しぎかげんに....
「ノンシャラン道中記」より 著者:久生十蘭
アレ》!」 二人の自動車はまた枯野原を通って引き返し、やがて見あげるように高い
突角堡《ルダン》の正面に行き着いた。二人は自動車から引きおろされ、アーチ形の暗い....
「蒼白い月」より 著者:徳田秋声
が……」雪江は私に注意した。釣をする人たちによって置かれた綸であった。松原が浜の
突角に蒼く煙ってみえた。昔しの歌にあるような長閑さと麗かさがあった。だがそれはそ....