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窓辺
「窓辺〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
窓辺の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「ある心の風景」より 著者:梶井基次郎
全部がそれに乗り移ることなのだ」 喬はそんなことを思った。毎夜のように彼の坐る
窓辺、その誘惑――病鬱や生活の苦渋が鎮められ、ある距《へだた》りをおいて眺められ....
「西湖の屍人」より 著者:海野十三
いませ、楚提が長く連っているのが見えます」 漢青年は、気がつくと、いつの間にか
窓辺によっていた。そこから、西湖の風光が懐しく彼の心を打った。こうして、漢青年の....
「パンドラの匣」より 著者:太宰治
その偉大なる手紙の全文である。 4 「過ぎし想い出の地、道場の森、私は
窓辺によりかかり、静かに人生の新しい一|頁とも云うべき事柄を頭に描きつつ、寄せて....
「病房にたわむ花」より 著者:岡本かの子
ちらと動いて見えました……私はあわてて目を逸らしました。あわてた視線が途惑って、
窓辺の桜に逸れました。私はぞっとしました。その桜の色の悽愴なのに。 ずっと前の....
「白銅貨の効用」より 著者:海野十三
樹の枝に糸を下げ、その先に十銭白銅貨をブラ下げて置いてこれを射つことである。若し
窓辺によって射るとして、的の下っている樹まで十メートルを距て置きたらんには、中々....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
さて、二名の座員はかねて用意のものらしき映画撮影用の反射板を持って南向きの二階の
窓辺に立ち、太陽の光線を頭上の板にうけとめて舞台の踊り子に反射させるのである。見....
「車中有感」より 著者:上村松園
つわものどもの夢の跡を偲んだりするのは無限の愉しみである。 汽車に乗ると、すぐ
窓辺にもたれて、窓外の風景へ想いをはしらすわたくしは――実は車内の、ごたごたした....
「おせん」より 著者:邦枝完二
何んにも頼まねえ。これから帰って縛られようよ」 千|吉は、わざとやけに立上って
窓辺へつかつかと歩み寄った。 突然隣座敷から、お岸のすすり泣く声が、障子越しに....
「皇帝の使者」より 著者:カフカフランツ
のたよりをたずさえてかけ抜けることはできない。――だが君は、夕べが訪れると、君の
窓辺に坐り、心のなかでそのたよりを夢想するのだ。....
「城」より 著者:カフカフランツ
しかし、泊めてもらう以外にはこの家族に何一つサービスしてもらうまい、と決心して、
窓辺の台へ腰を下ろした。彼を追い払ったり、あるいは彼を恐れていた村の連中は、彼に....
「判決」より 著者:カフカフランツ
を投げていた。父は、亡くなった母のさまざまな思い出の品に飾られている部屋の片隅の
窓辺に坐り、いくらか衰えてしまった視力の弱さを補おうとして、新聞を目の前に斜めに....
「西航日録」より 著者:井上円了
宿、鉄車直下入旗亭。 (洛山の山なみの深いところは、あかつきになお暗く、雲の影は
窓辺をさえぎって、夢はたちまちに醒まされる。残雪は天にかかるかのように空の半ばは....
「日を愛しむ」より 著者:外村繁
間もなく列車も動き出す。しかもストのため、却って列車はひどく空いている。母と弟は
窓辺の席に向かい合って坐ることができた。 「ほんまに、極楽やがな」などと、母は言....
「天才」より 著者:神西清
ずり出す。埃りと蜘蛛の巣で見えない程である。 「そうら……『婚約者と別れたる後の
窓辺の少女』って言うんだ」と彼は言う、「モデルを三日使ったんだぜ。でもまだ完成し....
「ある完全犯罪人の手記」より 著者:酒井嘉七
に近い緑の樹々のあたりを遠望している。清新な清々しい新緑を翫味すべき希望を抱いて
窓辺に立っているのである。しかし、この辺りの天候はあくまでも常軌を逸している。さ....