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「窮余〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

窮余の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
に乗じて、熱い息を吐きながら、いよいよ休みなく肉薄した。もうこうなっては、ただ、窮余の一策しか残っていない。そこで、彼は、事によったら、犬が追いあぐんで、どこか....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
ゃんと用意して、下に男ものを着込み、上にこの女ものを着付けて、ここへ追いこまれた窮余の末に、上のひと皮を脱ぎ捨てながらゆうゆうと大手をふって、伝六の目のまえを逃....
蠅男」より 著者:海野十三
たことになる。そんな莫迦莫迦しいことがあってたまるものではない。 そこで帆村は窮余の策として、宿帳を見せて貰った。目下の逗留客は、全部で十組であった。男が十三....
河明り」より 著者:岡本かの子
うな話ぶりで、老主人は語り継いだ。 「河岸の事務室を開けて、貸室に致しましたのも窮余の策で、実は、この娘に結婚させようという若い店員がございますのですが、どうも....
支倉事件」より 著者:甲賀三郎
支倉の場合には殆ど理由に困って、交通妨害などゝ云う罪を附したのだが、之は全く窮余の策で、いわば人権蹂躙である。然し、嫌疑者に一々帰宅を許していては、逃走なり....
黄鳥の嘆き」より 著者:甲賀三郎
僕はとうとう同意して、至急に重武の旧悪を探偵させる事にした。 野村の父は遂いに窮余の策として、お清の提案たる「以毒」の方法に同意したのだ。 二川重武は多く関....
ヤミ論語」より 著者:坂口安吾
裏側に大臣という霞を食う腹があるのかな。このアイマイな表現から察せられることは、窮余の告白であるにすぎず、ヤミをやらずに生きられぬ現実のマットウな認識には欠けて....
ジロリの女」より 著者:坂口安吾
イを取りはからう。そのアゲクが柳眉を逆立てられることになったら、そこは又そこで、窮余の奥の手にすがるのである。私自身がオッチョコチョイの窮地へ落ちこむことによっ....
現代忍術伝」より 著者:坂口安吾
で、突撃戦はたちまち混乱状態。ボッとあからみ、全身がほてるから、必死にこらえて、窮余の策。 「お酒、ちょうだい。あなたも、いかゞ。サカモリしましょうよ」 「あな....
街はふるさと」より 著者:坂口安吾
、実際に望むものには手をだすことができないのである。 礼子に会いたいというのは窮余の策で、たまたま青木がいるために思いついた程度の、彼女自身きわめて気乗りのし....
明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
易い娘と見こんで、やったまでのことですが、ほかに証拠が一ツもないので、破れかぶれ窮余の策というわけでした。うまくいったらオナグサミというところでしたね」 彼も....
次郎物語」より 著者:下村湖人
うものは、元来誇るべきものではない。人間の冷静な理知に訴えるだけの力のない人が、窮余の策として用いる手段だからね。それに誇りを感ずるなんて考えてみると滑稽だよ。....
特攻隊に捧ぐ」より 著者:坂口安吾
は上乗のものだった。ケタの違う工業力でまともに戦える筈はないので、追いつめられて窮余の策でやるような無計画なことをせず、戦争の始めから、航空工業を特攻専門にきり....
安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
い。切支丹を利用するコンタンに於ても、二人は同じように見透しをあやまった。如水は窮余の策として、切支丹信者であると同時に、禅宗に帰依し、禅寺をたてて高僧をむかえ....
九段」より 著者:坂口安吾
さくて汚い旅館、ほかに自慢の種がないから、亭主が多少碁に腕に覚えのあるのを頼りに窮余の策をめぐらしているのだろうということだ。こんな大邸宅大庭園を擁して碁の旅館....