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「窮鳥〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

窮鳥の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
HUMAN LOST」より 著者:太宰治
らし。まちがいなし。 七日。 言わんか、「死屍《しし》に鞭打つ。」言わんか、「窮鳥を圧殺す。」 八日。 かりそめの、人のなさけの身にしみて、まなこ、うるむも....
根岸お行の松 因果塚の由来」より 著者:三遊亭円朝
る。そのうちに女は何うすり脱《ぬ》けましたかバタ/\と晋齋の邸内へ逃込みました。窮鳥懐にいるときは猟夫も之れを射ずとか申すこともあり、晋齋はもとより慈悲深い方で....
旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
では、そちの風体と言い、面構《つらがま》えと言い、主水之介あまりぞっとしないが、窮鳥《きゅうちょう》ふところに入らば猟師も何とやらじゃ。では、いかにも匿まってつ....
ふもれすく」より 著者:辻潤
出してきた野枝さんは、僕のところへやってきて身のふり方を相談した。 野枝さんが窮鳥でないまでも、若い女からそういう話を持ち込まれた僕はスゲなく跳ねつけるわけに....
旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
い。要らぬ匿い立てとは何を申すか! よしんば当院に逃げ込んだがまことであろうと、窮鳥ふところに入る時は猟夫もこれを殺さずと申す位じゃ。ましてやここは諸縁断絶、罪....
富貴発跡司志」より 著者:田中貢太郎
ようになりましょうか、それをお知らせくださいまして、枯魚が斗水を得るように、また窮鳥が休むに好い枝に托くようになされてくださいませ、それが万一、私の運が定ってい....
ねずみと猫」より 著者:寺田寅彦
はじめて気がついていきなり茶の間へ飛び出し、奇妙な声を出し始めたのだそうである。窮鳥はふところに入る事があり、窮鼠は猫をかむ事があるかもしれないが、追われたねず....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
っているのでしょう。そこで兵馬も、どうしても、この一場の酔興が幕を下ろすまでは、窮鳥の懐ろに入ったと同様な、まだ知らないこの若い娘を擁して、道場の衝立《ついたて....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
がくだせまい。 そこで密集は力である。どうかすると山の娘たちは、この密集の中に窮鳥を包容することがある。いかにもこの密集の中へ包んで、白根の山ふところへもちこ....
自警録」より 著者:新渡戸稲造
てかかれということである。渡る世間に鬼《おに》はない、鬼でさえ頼めば人を食わぬ。窮鳥《きゅうちょう》懐《ふところ》に入れば猟夫《りょうふ》もこれを殺さぬ。怖気《....
俊寛」より 著者:倉田百三
、ながい間の職務上の経験から同情と役目とを別々に考えることにしているのだ。 康頼窮鳥がふところに入る時は猟師もこれを殺さないと申しますが。 基康 わしはこういう....
剣侠」より 著者:国枝史郎
叫んだ者があった。 「お礼は後に、事情も後に!」 こう云って澄江は駕籠の中へ、窮鳥のように身を忍ばせた。 「駕籠やれ!」と又も誰とも知れず叫んだ。 駕籠がユ....
魔像」より 著者:林不忘
ようと思って、さてこそその獅子《しし》の口へ、みずからはいり込んで来たのである。窮鳥《きゅうちょう》ふところに入れば猟師もこれを殺さず――そんなむずかしい言葉は....
三国志」より 著者:吉川英治
布が意識して徐州にほどこした徳ではないが、わしは天佑に感謝する。――今日、呂布が窮鳥となって、予に仁愛を乞うのも、天の配剤かと思える。この窮鳥を拒むことは自分の....
三国志」より 著者:吉川英治
、殺してしまうがよいでしょう」 「いや、彼はたのむ所がなくて、わが懐に投じてきた窮鳥だ。それを殺すは、飼禽を縊るようなもの。玄徳こそ、義のない人間といわれよう」....