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窶
「窶〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
窶の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
に、愚老確かに見届け申した。」と云った。甚太夫の顔には微笑が浮んだ。それと同時に
窶《やつ》れた頬《ほお》へ、冷たく涙の痕《あと》が見えた。「兵衛――兵衛は冥加《....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
へ坐った。
お律は眼をつぶっていた。生来|薄手《うすで》に出来た顔が一層今日は
窶《やつ》れたようだった。が、洋一の差し覗《のぞ》いた顔へそっと熱のある眼をあけ....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
声を失ったように男の顔を見つめつづけた。男は髭《ひげ》を伸ばした上、別人のように
窶《やつ》れている。が、彼女を見ている瞳《ひとみ》は確かに待ちに待った瞳だった。....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
えぎわ》の美しい細面で、殊に眼が水々しい。――が、どこかその顔立ちにも、痛々しい
窶《やつ》れが見えて、撫子《なでしこ》を散らしためりんすの帯さえ、派手《はで》な....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
れて具《つぶ》さに辛苦《しんく》を嘗《な》めるという風情《ふぜい》、この方は姿も
窶《やつ》れ容《かたち》も細って、流るる音さえ別様に、泣くか、怨《うら》むかとも....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
ったのは、座敷帰りの小芳である。 瓜核顔の、鼻の準縄な、目の柔和い、心ばかり面
窶がして、黒髪の多いのも、世帯を知ったようで奥床しい。眉のやや濃い、生際の可い、....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
包まれたと同一に、いよいよ清い。眉は美しく、瞳は澄み、唇の紅は冴えて、いささかも
窶れない。憂えておらん。清らかな衣を着、新に梳って、花に露の点滴る装して、馬に騎....
「小春の狐」より 著者:泉鏡花
真黄色な蕈を装ったのを、こう覗いている。と笊を手にして、服装は見すぼらしく、顔も
窶れ、髪は銀杏返が乱れているが、毛の艶は濡れたような、姿のやさしい、色の白い二十....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
じゃ、」 と更めて顔を見る目も、法師は我ながら遥々と海を視める思いがした。旅の
窶が何となく、袖を圧して、その単衣の縞柄にも顕れていたのであった。 「そして貴僧....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
頬被りを取った顔を、と見ると迷惑どころかい、目鼻立ちのきりりとした、細面の、瞼に
窶は見えるけれども、目の清らかな、眉の濃い、二十八九の人品な兄哥である。 「へへ....
「女客」より 著者:泉鏡花
いつお目にかかっても、元気よく、いきいきしてねえ、まったくですよ、今なんぞより、
窶れてないで、もっと顔色も可かったもの……」 「それです、それですよ、お民さん。....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
も大きい、額の黒子も大入道、眉をもじゃもじゃと動かして聞返す。 これがために、
窶れた男は言渋って、 「で、ございますから、どうぞ蝋燭はお点し下さいませんように....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
て、念を入れて尋ねたのである。その時、白地の浴衣を着た、髪もやや乱れていたお雪の
窶れた姿は、蚊遣の中に悄然として見えたが、面には一種不可言の勇気と喜の色が微に動....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
ように思うが……。』 『あなたとお別れしてから、いろいろ苦労をしましたので、自然
窶が出たのでございましょう。』 『それは大へん気の毒なことであった。が、斯うなっ....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
いたと申しましたっけ。 ――杜若の花を小褄に、欠盥で洗濯をしている、束ね髪で、
窶々しいが、(その姿のゆうにやさしく、色の清げに美しさは、古井戸を且つ蔽いし卯の....