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窺う
「窺う〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
窺うの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
お島婆さんの家の前を通りすぎました。通りすぎながら、二人が尻眼に容子《ようす》を
窺うと、ただふだんと変っているのは、例の鍵惣が乗って来た車だけで、これは遠くで眺....
「水害雑録」より 著者:伊藤左千夫
人たちの事が気にかかるのである。自分はしばらく牛を控えて後から来る人たちの様子を
窺うた。それでも同情を持って来てくれた人たちであるから、案じたほどでなく、続いて....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
瞑って、男の児に何かものを言いかけるにも、なお深く差俯向いて、いささかも室の外を
窺う気色は無かったのである。 かくて彼一句、これ一句、遠慮なく、やがて静岡に着....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
くないことではなかった。私はその境界がいかに尊く難有きものであるかを幽かながらも
窺うことが出来た。そしてその醍醐味の前後にはその境に到り得ない生活の連続がある。....
「春の潮」より 著者:伊藤左千夫
梅のかおりに気づいたか、 「おおえいかおり」 そっと一こと言って、枝折戸の外を
窺う。外には草を踏む音もせぬ。おとよはわが胸の動悸をまで聞きとめた。九十九里の波....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
捜す? いやさ捜さずともだが、仮にだ。いやさ、七くどう云う事はない、何で俺が門を
窺うた。唐突に窓を覗いたんだい。」 すっと出て、 「さては……」 「何が(さて....
「琵琶伝」より 著者:泉鏡花
りしが、伝内の眼に遮られて、答うることを得せざりき。 戸外にては言途絶え、内を
窺う気勢なりしが、 「通ちゃん、これだけにしても、逢わせないから、所詮あかないと....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
るれば、到底真理を掴むことはできない。全体と交渉なき局部的の意見は、筆者の思想を
窺うのには役立つが、われ等の信仰問題とは没交捗である。二千年、三千年の昔に於て述....
「杜子春」より 著者:芥川竜之介
と、眉毛も動かさずに坐っていました。 虎と蛇とは、一つ餌食を狙って、互に隙でも
窺うのか、暫くは睨合いの体でしたが、やがてどちらが先ともなく、一時に杜子春に飛び....
「白光」より 著者:井上紅梅
り出した。彼は椅子に腰を卸してよく見ると、彼等は夜学に来ているのだが、彼の顔色を
窺うようにも見えた。 「帰ってもいい」 彼はようやくのことで、これだけのことを....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
て見れば男ならで女なり。ますます思いせまる事ありて覚悟を極しならんと身を潜まして
窺うに、幾度か欄干へ手をかけて幾度か躊躇し、やがて下駄を脱ぎすつる様子に走り倚り....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
ようとしたのであった。 さりとも、人は、と更めて、清水の茶屋を、松の葉|越に差
窺うと、赤ちゃけた、ばさらな銀杏返をぐたりと横に、框から縁台へ落掛るように浴衣の....
「山吹」より 著者:泉鏡花
三度鶏の声。遠音に河鹿鳴く。しばらくして、立ちて、いささかものに驚ける状す。なお
窺うよしして、花と葉の茂に隠る。) 夫人 (傘を片手に、片手に縄尻を控えて――登....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
へ半分ばかり出した膝を揃えて支いたまま、呆気に取られたが、上目づかいで鴨川の面を
窺うと、渠は目を瞑って俯向きながら、頤髯のむしゃとある中へ苦笑を包んで、 「可し....
「活人形」より 著者:泉鏡花
事心。こうしてああしてこうして、と独りほくほく頷きて、帳場に坐りて脂下り、婦人を
窺う曲者などの、万一入り来ることもやあらむと、内外に心を配りいる。 勝手を働く....