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立てる
「立てる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
立てるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
ながら、砂のにおいをかぐように、頤《あご》を前足へすりつけて、びょうびょうとほえ
立てる。――相手を殺したのに、気のゆるんだ次郎は、前よりもいっそう、この狩犬の執....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
うか。春水なんぞも、……」
「私と為永《ためなが》さんとは違う。」
馬琴は腹を
立てると、下唇を左の方へまげる癖がある。この時、それが恐ろしい勢いで左へまがった....
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
二つに裂けて、足を過った女子供を呑んでいる画が出て居ります。それから――一々数え
立てるまでもございませんが、その時その風俗画報は、二年以前の大地震《おおじしん》....
「母」より 著者:芥川竜之介
に、もうそこへはさっきの女中が、ばたばた上草履《うわぞうり》を鳴らせながら、泣き
立てる赤児《あかご》を抱《だ》きそやして来た。赤児を、――美しいメリンスの着物の....
「冬」より 著者:芥川竜之介
者ですよ。耳の痛いことは御免蒙《ごめんこうむ》りますかね。」
僕は僕自身を引き
立てるためにも常談《じょうだん》を言わずにはいられなかった。が、従兄の弟は酒気を....
「奇遇」より 著者:芥川竜之介
に、金華酒《きんかしゅ》の満《まん》を引きながら、盛んに妓品《ぎひん》なぞを論じ
立てるのである。
その王生がどう云う訳か、去年の秋以来忘れたように、ばったり痛....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
服を脱がなかったもんだ。おまけにその犬が側にいないと、金さん金さんと喚《わめ》き
立てるじゃないか? 考えれば牧野も可哀そうな男さ。※蓮《けいれん》を妾《めかけ》....
「古千屋」より 著者:芥川竜之介
はやっと安堵《あんど》の思いをした。実際古千屋の男のように太い声に罵《ののし》り
立てるのは気味の悪いものだったのに違いなかった。
そのうちに夜《よ》は明けて行....
「年末の一日」より 著者:芥川竜之介
ていた。狭苦しい動坂《どうざか》の往来もふだんよりは人あしが多いらしかった。門に
立てる松や竹も田端青年団詰め所とか言う板葺《いたぶ》きの小屋の側に寄せかけてあっ....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
れが羨ましそうだな。羨ましくないと? 嘘をつけ。それなら何故《なぜ》そんなに啼き
立てるのだ。雲雀。おい、雲雀。返事をしないか。雲雀。……」
十八
素戔嗚《....
「俊寛」より 著者:芥川竜之介
たでしょう。」
「康頼は怒るのに妙を得ている。舞《まい》も洛中に並びないが、腹を
立てるのは一段と巧者じゃ。あの男は謀叛《むほん》なぞに加わったのも、嗔恚《しんい....
「海のほとり」より 著者:芥川竜之介
等は二人ともこの七月に大学の英文科を卒業していた。従って衣食の計《はかりごと》を
立てることは僕等の目前に迫っていた。僕はだんだん八犬伝を忘れ、教師《きょうし》に....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
いたまま黙っていました。 「よくお聞きよ。今夜は久しぶりにアグニの神へ、御伺いを
立てるんだからね、そのつもりでいるんだよ」 女の子はまっ黒な婆さんの顔へ、悲し....
「トロッコ」より 著者:芥川竜之介
。父母は勿論その人たちは、口口に彼の泣く訣を尋ねた。しかし彼は何と云われても泣き
立てるより外に仕方がなかった。あの遠い路を駈け通して来た、今までの心細さをふり返....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
ことであろう。僕は江戸趣味に随喜するものではない。しかし僕の小学時代に大川に浪を
立てるものは「一銭蒸汽」のあるだけだった。或はその外に利根川通いの外輪船のあるだ....