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「立並ぶ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

立並ぶの前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
海異記」より 著者:泉鏡花
ずんで、四辺はものの磯の風。 奴は、旧来た黍がらの痩せた地蔵の姿して、ずらりと立並ぶ径を見返り、 「もっと町の方へ引越して、軒へ瓦斯燈でも点けるだよ、兄哥もそ....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
乞食が住む非人小屋があって、夕方は覚束ない火が小屋にともれ、一方の古墳新墳累々と立並ぶ墓場の砂地には、初夏の頃から沢山月見草が咲いた。日間通る時、彼は毎に赭くう....
夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
生命じゃが。……さあ、どうじゃい。 学円 しばらく、(声を掛け、お百合を中に晃と立並ぶ。)その返答は、萩原からはしにくかろう。代って私が言う。――いかにも、お百....
紅玉」より 著者:泉鏡花
やあ、大凧だい、一人じゃ重い。 小児四 うん、手伝ってやら。(と独楽を懐にして、立並ぶ)――風吹け、や、吹け。山の風吹いて来い。――(同音に囃す。) 画工 (あ....
南地心中」より 著者:泉鏡花
も翼も見えて、やがては、練ものの上を飛交わす。 列が道頓堀に小休みをした時は、立並ぶ芝居の中の見物さえ、頻りに鴉鳴を聞いた、と後で云う。…… 二....
東上記」より 著者:寺田寅彦
人のいらぬ心配かは知らず。やがて稲荷を過ぐ。伏見人形に思い出す事多く、祭り日の幟立並ぶ景色に松蕈添えて画きし不折の筆など胸に浮びぬ。山科を過ぎて竹藪ばかりの里に....
」より 著者:豊島与志雄
横顔、そうした風致も地震のために壊されてしまって、あの古池と不調和な建物が周囲に立並ぶことだろうし、また、この話を聞いて面白く思いそうな、ハーン先生やケーベル先....
上海の渋面」より 著者:豊島与志雄
州河は、重慶政府のテロから身を護るためには、越え難い一種の境界であろう。バンドに立並ぶ高層建築は、欧米勢力の重圧と感ぜられるであろう。それに対抗すべき淅江財閥の....
地上」より 著者:島田清次郎
勃発しかけているせいもあったろう。 廓もしばらくの間に寂びてしまった。広い路に立並ぶ宏壮な屋並には、喪章に掩われた国旗がどんより澱んだまま動かずに垂れていた。....
江戸芸術論」より 著者:永井荷風
する群集の頭部のみを描きて図の下部を限り、荷船の浮べる運河を挟《はさ》んで左右に立並ぶ倉庫の列を西洋画の遠近法に基《もとづ》きて次第に遠く小さく、その相迫りて危....
寺じまの記」より 著者:永井荷風
、堤を下りて迂曲する狭い道を取った。狭い道は薄暗く、平家建《ひらやだて》の小家が立並ぶ間を絶えず曲っているが、しかし燈火《とうか》は行くに従つて次第に多く、家も....
放水路」より 著者:永井荷風
うと思い、堀割の岸づたいに、道の行くがまま歩みつづけると、忽ち崩れかかった倉庫の立並ぶ空地の一隅に、中川大橋となした木の橋のかかっているのに出会った。 わたく....