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「立前〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

立前の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
春の潮」より 著者:伊藤左千夫
響くように聞える。省作は夜の十二時頃酔った佐介を成東へ送りとどけた。 省作は出立前十日ばかり大抵土屋の家に泊まった。おとよの父も一度省作に逢ってからは、大の省....
菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
から、何うぞ斯うぞ致して居ります、なまじ親父に会いますと又|右や左申しますから、立前に手紙で委しく云ってやります、どうか私だけはお邪魔でもお供を」 竹「誠に手前....
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝」より 著者:三遊亭円朝
うな御用でもいたしやすから願いやす」 婆「これサ、旦那の処で一月働いたって三円の立前は有りゃアしねえ、一日弐拾銭出せば力のある人が雇えるから、お前さんなぞを使う....
幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
。これは附属職業の中でも重要なもので、それに狂いがあっては大変です。建築でいえば立前だから立前が狂っていては家は建たぬわけ、木寄師がまずかった日には仏師は手が附....
思想と風俗」より 著者:戸坂潤
例えば政治的な又市井的な行動や言論が夫であって、一切の私的なものは除外されるのが立前である。人の見ていない処で何をしようと、それが他人へ決定的な影響を与えない限....
怪談牡丹灯籠」より 著者:三遊亭円朝
か叶えては下さるまいか」 孝「何のような事でも宜しゅうございます」 相「お前の出立前に娘お徳と婚礼の盃だけをして下さい、外に望みは何もない、どうか聞済んで下さい....
社会時評」より 著者:戸坂潤
、併し裁判は大権にぞくすることで、量刑の問題に就いて人民は容喙してはならないのが立前だ。軍部と司法当局とが公判事務上の打ち合わせをしても、大権干犯の疑いを生じる....
巴里祭」より 著者:岡本かの子
なる。そのときは彼女をみんな「おばさん」と呼んでいる。彼女もそのときはおばさんの立前になっていろいろ親切に世話をやくのであった。 河堤の古本屋の箱屋台はすっか....
青鬼の褌を洗う女」より 著者:坂口安吾
けだ。呪ったり憎んだりせず、呪うべきもの憎むべきものには近寄らなければよいという立前で、けれども、たった一つ、近寄らなければよい主義であしらうわけには行かないも....
あるニュウ・フェイスへの手紙」より 著者:岸田国士
、研究所内部の事情について、お話のような制度になっているとすれば、それは研究所の立前から言って、そうする方が適当だという考えに基くものでしょうが、なぜその方が適....
講談先生」より 著者:坂口安吾
心易いもので、私がちゃんと見てきたのだから、文句は言わずに、信用しなさい、という立前なのである。 小説の技法に大切なのは、事実性、説得力というもので、之には色....
決闘」より 著者:神西清
う話をして置いた。」 遠い海上で稲光りがした。雷鳴が陰にこもって轟いた。 「夕立前の蒸暑さったらないな!」とフォン・コーレンは言った、「何なら賭をしてもいい、....
悪因縁の怨」より 著者:江見水蔭
抱き込まれますよ」 「そんなに傍へ寄って来なくッても好い。そこでお嬶さん、愚庵の立前を引いて、お前さんに、小判で十両上げよう」 「小判十両! 結構で御座います」....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
医になったという。一体私はあの人にずっと従いて居った下僕じゃない。実はその少し出立前に私の知って居る薬舗の紹介で従いて来たのだから悉しい事はよく知らぬけれども、....
早稲田神楽坂」より 著者:加能作次郎
を追想すると、私は今でも心のときめくような深い感慨を催さずにいられない。芸術座創立前後における、私達島村先生の周囲に集まった者等の異常な感激と昂奮とは別としても....