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立枯れ
「立枯れ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
立枯れの前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「足迹」より 著者:徳田秋声
脱ぎの上にあった下駄も取り込んだらしく、板戸もぴったり締って、日当りの悪い庭の、
立枯れの鉢植えの菊などが目についた。差配の方の格子戸もまだ開かなかった。お庄はし....
「近世快人伝」より 著者:夢野久作
真面目で質問した。 「違います……そのハンボン・エキスの嗅い事というたなら鼻毛が
立枯れする位で、それを工合良うビール瓶に詰めて、長崎の仏蘭西人に売りますと、一本....
「菜穂子」より 著者:堀辰雄
丁離れた人気ない淋しい牧場には、あの自分によく似ているような気のした事のある例の
立枯れた木が、矢っ張それも片側だけ真白になった儘《まま》、雪の中にぽつんと一本き....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
り後だということでございました。『俺は生涯病気という病気はなく、丁度樹木が自然と
立枯れするように、安らかに現世にお暇を告げました。身分こそ賎しいが、後生は至って....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
い家――そういったものが、迫りくる暮色のなかに雑然|蕪然《ぶぜん》と押し並んで、
立枯れの雑木ばやしを見るような、まことに骨さむい景色……。
投入れのひからびて....
「蓮」より 著者:豊島与志雄
一二枚黒ずんで枯れていった。花の後の漏斗形の萼は、実を結ぶ様子もなく、小く萎びて
立枯れてしまった。残りの葉も、まだ霜を受けない先に枯れかかった。鉢の中を覗いてみ....
「藤九郎の島」より 著者:久生十蘭
った。 「御顕示はわかったが、夏場になれば、茅葭《かやよし》のような強い草でさえ
立枯れする。天水は三日ごとに四半刻ほどくださるだけ。山焼けはする。灰は降る。岩山....
「怪異暗闇祭」より 著者:江見水蔭
四 何心なく源八郎は裏山の方を透して見た。すると大きな大きな欅の樹の、すでに
立枯れになっているのが、妖魔の王の突立つ如くに目に入った。その根下に、怪しい人影....
「木曽御嶽の両面」より 著者:吉江喬松
て来る。 入日は峰の雲に隠れてしまった。径は登り尽くして平らになった。樅の木が
立枯れして、白く骸骨のようになって立っている。もう一度振返って見た。飛騨にはもう....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
音と、波の響だ。 * 鮮かな緑の低い丘陵、そのところどころの黒と
立枯れのうそ寒いとど松林、それだけの眺めの下に、ぽつぽつと家が五、六戸。冬ならば....
「早稲田神楽坂」より 著者:加能作次郎
。橋を渡った停車場寄りの処のほんの二、三株が花をつけるのみで、他はどうしたわけか
立枯れになってしまった。一頃は見附の桜といって、花時になると電車通りの所から停車....