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立膝
「立膝〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
立膝の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
て、いつか滝人が忘れていった、早鉄漿《はやがね》の壺に鏡を取り出してきた。そして
立膝《たてひざ》にした両足を広く踏み開き、小指にちょんぴりとつけた黒い脂《あぶら....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
ルに、ざっくり、山繭縮緬の縞の羽織を引掛けて、帯の弛い、無造作な居住居は、直ぐに
立膝にもなり兼ねないよう。横に飾った箪笥の前なる、鏡台の鏡の裏へ、その玉の頸に、....
「恭三の父」より 著者:加能作次郎
三は洋灯を明るくして台所へ行った。炉縁の角の所に端書と手紙とが載って居た。恭三は
立膝のまゝでそれを手に取った。 生温い灰の香が鼻についた。蚊が二三羽耳の傍で呻....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
れているようで、手もつけられず、親たちがうろうろしますの。村方一同寄ると障ると、
立膝に腕組するやら、平胡坐で頬杖つくやら、変じゃ、希有じゃ、何でもただ事であるま....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
と云う女の送りで、ずッと入る。直ぐそこの長火鉢を取巻いて、三人ばかり、変な女が、
立膝やら、横坐りやら、猫板に頬杖やら、料理の方は隙らしい。……上框の正面が、取着....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
うと、カタンと言わして、刷毛と一所に、白粉を行燈の抽斗に蔵った時、しなりとした、
立膝のままで、見物へ、ひょいと顔を見せたと思え。 島田ばかりが房々と、やあ、目....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
した調子を上げた、遣手部屋のお媼さんというのが、茶渋に蕎麦切を搦ませた、遣放しな
立膝で、お下りを這曳いたらしい、さめた饂飩を、くじゃくじゃと啜る処―― 横手の....
「第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
まず引掛の昼夜帯が一つ鳴って〆った姿。わざと短い煙管で、真新しい銅壺に並んで、
立膝で吹かしながら、雪の素顔で、廓をちらつく影法師を見て思出したか。 ――勘定....
「化銀杏」より 著者:泉鏡花
え出して、つい堪らなくなったから、横になろうと思っても、直ぐ背後に居るんだもの、
立膝も出来ないから、台所へ行って板の間にでもと思ったが、あすこにゃ蚊が酷いし、仕....
「政談十二社」より 著者:泉鏡花
いような風ッつき、乱髪に浅葱の顱巻を〆めまして病人と見えましたが、奥の炉のふちに
立膝をしてだらしなく、こう額に長煙管をついて、骨が抜けたように、がっくり俯向いて....
「郷愁」より 著者:織田作之助
浮浪者がごろりと横になっている傍に、五つ六つ位のその浮浪者の子供らしい男の子が、
立膝のままちょぼんとうずくまり、きょとんとした眼を瞠いて何を見るともなく上の方を....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
おきながら取留めたことを尋ねるまでもなく、お縫は半ば独言。蓋のあいた柳行李の前に
立膝になり、ちょっと小首を傾けて、向うへ押して、ころりと、仰向けに蓋を取って、右....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
て滅多には無かったでしょう。私あ上りまして見ましたがね、お夏さんが行水を使って、
立膝でこう浴衣の袖で襟を拭いてると、女中がね、背後で団扇車ってやつをくるくるとや....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
ちと気障だったよ、あああ。」 と傍の茶棚の上へ、出来て来たのを仰向いてのせた、
立膝で、煙草盆を引寄せると、引立てるように鉄瓶をおろして、ちょいと触ってみて、埋....
「斎藤緑雨」より 著者:内田魯庵
儀の好い男で、あぐらを掻くッてな事は殆んどなかった。いよいよ坐り草臥びれると能く
立膝をした。あぐらをかくのは田舎者である、通人的でないと思っていたのだろう。 ....