立見[語句情報] » 立見

「立見〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

立見の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
うつり香」より 著者:近松秋江
困ったことだと、ひそかに腹の中で太息を吐いていた。 「それでもこの間|歌舞伎座の立見につれていってやったら、ちょうど重の井の子別れのところだったが、眼を赤くして....
惜別」より 著者:太宰治
られ、それでも入場料は五銭とか八銭とかの謂わば大衆的な低廉のもので手軽に見られる立見席もあり、私たち貧書生はたいていこの立見席の定連で、これはしかし、まあ小芝居....
一商人として 」より 著者:相馬愛蔵
て、三崎座のファンは相当多かったものです。喜どんも箱車を傍の空地に置き放しにして立見をやって帰ったものです。 芝居好きの喜どんはまた小説類を濫読しました。むろ....
犬を連れた奥さん」より 著者:神西清
ぶやいたことを思い出した。それが、おしまいまではまだまだ何と遠いことだろう! 『立見席御入口』と掲示の出ている狭い薄暗い階段の中途で、彼女は立ちどまった。 「ず....
鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
高島米峰氏が出していられて、新刊書や教科書類を扱うようでした。何んでも学生たちが立見をして本を汚すと、叱られるとのことでした。そこは曙町の停留所のすぐ傍、東洋大....
水晶の栓」より 著者:新青年編輯局
て巴里における有名な劇場調査を初めた。ルネサンス座や、ジムナース座に飛び込んで、立見から桝を眺めた。ドーブレクらしい影が見えなければ次の劇場へ……かくて午後十時....
雪柳」より 著者:泉鏡花
、餡かけ、麦とろに到るまで、食いながら、撮みながら、その色もの、また講釈、芝居の立見。早手廻しに、もうその年の酉の市を連れて歩行いた。従って、旅費の残りどころか....
明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
いわゆる“観客が沸く”というようなことは少しもなかった。土間桟敷は勿論、大向うの立見の観客に至るまで、みな神妙におとなしく見物していた。それはこの劇の主人公が団....
叔父と甥と」より 著者:岡本綺堂
わが作『小栗栖の長兵衛』を上場するに付、午頃より見物にゆく。英一世にあらば、僕も立見に行こうなどいうならんかと思いやれば、門を出でんとしてまた俄に涙を催す。 顔....
米国の松王劇」より 著者:岡本綺堂
を長くして内をのぞいていると、やがて女は再び出て来て、到底普通の椅子席はないが、立見同様でよければ案内して遣るという。それで結構とすぐに案内されて這入ると、なる....
明治の文学の開拓者」より 著者:内田魯庵
新らしい道を開く。劇の如きも今日でこそ猫も杓子も書く、生れて以来まだ一度も芝居の立見さえした事のない連中が一と幕物を書いてる。児供のカタゴトじみた文句を聯べて辻....
江戸芸術論」より 著者:永井荷風
《はなはだ》尊し。向揚幕《むこうあげまく》より役者の花道に出でんとする時、大向う立見《たちみ》の看客の掛声をなすは場内の空気を緊張せしむるに力ある事|唄《うた》....
夏の町」より 著者:永井荷風
が》って犬のように川端を歩き廻る。 濡れた水着のままでよく真砂座《まさござ》の立見《たちみ》をした事があった。永代《えいたい》の橋の上で巡査に咎《とが》められ....
すみだ川」より 著者:永井荷風
待乳山で待ち合わそうと申出《もうしだ》したのもお糸であった。宮戸座《みやとざ》の立見《たちみ》へ行こうといったのもお糸が先であった。帰りの晩《おそ》くなる事をも....
中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
なのである。 山ざくら花の下風ふきにけり木の下ごとの雪のむらぎえ 山深み杉のむら立見えぬまでをのへの風に花の散るかな 木の下の苔の緑も見えぬまで八重散りしける山....