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立退き
「立退き〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
立退きの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「吉良上野の立場」より 著者:菊池寛
て来た。 「狼籍者が、押し込みました」 「浅野浪人か」 「そうらしいです。すぐお
立退きを」 上野は、あわてて起き上った。太刀打ちの音がした。掛け声がきこえた。....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
いた。その立退《たちの》き先をたずねて、それから三田の魚籃《ぎょらん》の知り人の
立退き先をも見舞って、帰り路に半七はゆうべの勘蔵のことを云い出した。あれからどう....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
に及んだところ、このほど岡東の家が進駐軍に接収されることになり、二月十二日までに
立退きを命ぜられ、上を下へのさわぎなり。友のために暗涙にむせぶ。入るは中国人なり....
「青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
話しました。 とにかくそういう訳で、わたくし共の一家が多年住みなれた吉原の廓を
立退きましたのは明治六年の四月、新しい暦では花見月の中頃でございました。今度引移....
「母の上京」より 著者:坂口安吾
、と考へてゐたものだ。 終戦となり、会社は解散する、借家も立退くことになつて、
立退きをきつかけに、案外面倒もなく女と別れることができた。実際はいくらかみれんも....
「中庸」より 著者:坂口安吾
して疎開生活を営んだのである。 余が村長に就任後、期日到来して、小野遺族の強制
立退きが実行せられることとなったのである。遺族はマリ子のほかに母と弟の三人にすぎ....
「水鳥亭」より 著者:坂口安吾
が、いつもするような薄笑いの翳はなかった。 「五千円で買ったら、あなたは今日中に
立退きますか。いえ、今日中に立退いて下さい」 「今日中はムリですよ。先日来、駅と....
「大捕物仙人壺」より 著者:国枝史郎
り下さいますように」と。 勿論官では取り上げなかった。しかし全然別の理由から、
立退きを命ずることにした。 この一座が掛かって以来、にわかに盗難が多くなって、....
「麻畑の一夜」より 著者:岡本綺堂
もそんなことだろうと思います。ほかの者がそう言うなら、あなたももう諦めてここをお
立退きなすった方が安全でしょう。」と、高谷君も彼に注意した。 「ありがとうござい....
「夢のお七」より 著者:岡本綺堂
始終無言であった。 「泊めてはくれないか。」 「お願いでございますから、どうぞお
立退きを……。」と、彼は嘆願するように言った。 「詮議がきびしいか。」 「さきほ....
「備前天一坊」より 著者:江見水蔭
の物種だ」と駒越左内も臆病風。 九兵衛は又|家の大事と。 「どうか少しも早く御
立退きを願いまする。お預かりの百両は、宿賃を差引いてお返し致しまするで、や、どう....
「取返し物語」より 著者:岡本かの子
お上人さまの方がどのくらいそれを望んで居らりょうか知れん。それで十年前に北国へお
立退きの際、お預けなされた三井寺の方へ此の間じゅうからさいさい掛合われなされたけ....
「子をつれて」より 著者:葛西善蔵
持で晩酌の盃を嘗めていた。すると御免とも云わずに表の格子戸をそうっと開けて、例の
立退き請求の三百が、玄関の開いてた障子の間から、ぬうっと顔を突出した。 「まあお....
「明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
人は少なかったようである。明治の初年、ここに新島原の遊廓を開いたが、四年の七月に
立退きを命ぜられ、その跡へ新富町という町が出来て、その六丁目に劇場が新築されたの....
「粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)」より 著者:三遊亭円朝
れ、吉原へ往って見ますと、焼跡のみで分りませんから、段々聞きましたれば、当所へお
立退きに成ったということを承わりましたから、取敢ず罷り出ました」 音「そう、私も....