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立錐
「立錐〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
立錐の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「麻雀殺人事件」より 著者:海野十三
は、麻雀|倶楽部の競技室のカーテンを開くと、同時に叫んだ。この暑いのに、文字通り
立錐の余地のない満員だった。 「いらっしゃいまし。今日は土曜の晩なもんで、こう混....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
、二条の通りを縦に貫く堺町あたりの両側は、公使らの参内を待ち受ける人で、さながら
立錐の地を余さない。 この人出の中に、平田門人|暮田正香もまじっていた。彼も今....
「田舎教師」より 著者:田山花袋
一里ばかり、高取というところに天満宮があって、三月初旬の大祭には、近在から境内に
立錐の地もないほど人々が参詣した。清三も昔一度行ってみたことがある。見世物、露店....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
きない老若男女が、ギッシリと詰まっていました。
しかしながら、桝に盛られたこの
立錐《りっすい》の余地なき人間の一山は、それを苦にもしないで、盛られたままに歌う....
「後の業平文治」より 著者:三遊亭円朝
勢、蟠龍軒は隙あらば逃げたいのは山々でござりますが、四辺は一面土手を築いたる如く
立錐の余地もなく、石川土佐守殿は忍び姿で御出馬に相成り、与力は其の近辺を警戒して....
「街はふるさと」より 著者:坂口安吾
、受付の小女をよんで、 「この名刺の人は、どの方?」 応接室には幾組もの人々が
立錐の余地もないほどつめこんで、モウモウたる紫煙をふいている。受付の少女が指した....
「一商人として 」より 著者:相馬愛蔵
本堂を朝々の静坐道場としておられたが、どんな寒い冬の朝でも道場は暗いうちから満堂
立錐の余地なく、後れたものは廊下の板の上に坐っていた。この朝の静坐が済んでから、....
「オフェリヤ殺し」より 著者:小栗虫太郎
政策の上から云っても、彼の特別出演は上々の首尾であり、毎夜、この五千人劇場には、
立錐の余地もなかった。そして、恰度その晩――五月十四日は、開場三日目の夜に当って....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
い。数丁にわたるジャンジャン横丁全体がホルモン焼きの煙と匂いにつつまれ、どの店も
立錐の余地もなく労働者がホルモン焼きの皿をかかえてムシャぶりついている。どの店の....
「印度の詩人」より 著者:国枝史郎
その時にも、会場の光景を書くべく、会場に出張し、鉛筆を嘗めていた。会場は文字通り
立錐の余地のないほどの盛況であった。 タゴールは、白色の長い印度服を着白のター....
「花模様女剣戟」より 著者:小野佐世男
ゃない?」 「チェッー、 一ぱいくわされた」 2 劇場内は満員で
立錐のよちもない。 「マア! すごい入りね」 「だいじょうぶかいラキ子ちゃん、日....
「ジャズ狂時代」より 著者:小野佐世男
やっと指定席に坐って汗をふいたのである。日本一巨大なる劇場といわれる国際が、
立錐の余地もなく廊下にあふれて、若い青年や少女がひしめいている。アア世は正にジャ....
「明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
―その当時は他の劇場に比較して、特に大きい小屋のように見えた歌舞伎座が、いわゆる
立錐の余地もない大入であったので、わたしもそれにびっくりした。どこの隅々からどう....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
観に出かけたるに、入場料一シリング(わが五十銭)なるにもかかわらず、広闊なる場内
立錐の地なく、観客約二万人と目算せらる。聞くところによるに、フットボールは豪州第....
「魂の喘ぎ」より 著者:大倉燁子
たのという者も少なくなかった。客は廊下にまであふれて定刻には文字通り奥の大広間は
立錐の余地もない有様だった。遅れて来た編集局長は人々の間を縫うようにしてやっと入....