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「端くれ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

端くれの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
富士」より 著者:岡本かの子
生えていたが、翁はそれも摘まなかった。せめて悩んでいてやることが娘に対する理解の端くれになりそうに思えた。 前には刀禰《とね》の大河が溶漾《ようよう》と流れて....
東海道五十三次」より 著者:岡本かの子
主人は正直に私の身元を紹介した。中老の男は私には丁寧《ていねい》に 「自分も絵の端くれを描きますが、いや、その他、何やかや八百屋でして」 男はちょっと軒端《の....
婦系図」より 著者:泉鏡花
そうでございますか。」 小児の肩に手を懸けて、 「これの父親も、ちとばかりその端くれを、致しますのでございますよ。」 さては理学士か何ぞである。 貴婦人は....
親子」より 著者:有島武郎
ことをする無益さを思い知らねばならなかった。頭の鈍い人たちは、申し立つべき希望の端くれさえ持ち合わしてはいなかったし、才覚のある人たちは、めったなことはけっして....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
されず、場末や近在廻りなどをして、母のおさがと二人で暮らしている。それでも芸人の端くれであり、且は近所でもあるので、半七はしん吉親子の顔を識っていた。 「しん吉....
伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
「太夫様お手ずから。……竜と蛞蝓ほど違いましても、生あるうちは私じゃとて、芸人の端くれ。太夫様の御光明に照らされますだけでも、この疚痛は忘られましょう。」と、は....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
知らず、間拍子の分らない、まんざらの素人は、盲目聾で気にはしないが、ちと商売人の端くれで、いささか心得のある対手だと、トンと一つ打たれただけで、もう声が引掛って....
世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
。 「わたしには寝床がありません。」と、ラザルスは言った。 「私はこれでも武士の端くれであったから、坐っていても眠られます。ただ私たちは火さえあれば結構です。」....
灰色の記憶」より 著者:久坂葉子
づけ字の手紙をよまされた。私は手紙をかく事を好んでいたのですぐ乱暴な字でノートの端くれに返事をかいた。それ等の女性に対して何ら興味はなかったものの、手紙をかくた....
甲州鎮撫隊」より 著者:国枝史郎
そっちの方が本音だ」 「かも知れないわね」 「あっしなんか何んなもので」 「木の端くれぐらいのものさ」 パチリ! と留吉は、切らずともよい、可成り大事な枝を、....
名人地獄」より 著者:国枝史郎
である。 「町人、お前は江戸っ子だな」造酒がまずこうきいた。 「へい、江戸っ子の端くれで、へ、へ、へ、へ」と世辞笑いをしたがそれが一向卑しくない。 「いったい何....
番町皿屋敷」より 著者:岡本綺堂
侍の女房……この菊が侍の女房になれましょうか」 「いうまでもない。青山播磨も侍の端くれではないか。その妻ならば……」 「でも、小石川の伯母様が……」 「おお。知....
茶の湯の手帳」より 著者:伊藤左千夫
分たりとも解るものでない、精神的に茶の湯の趣味というものを解していない族に、茶の端くれなりと出来るものじゃない、客観的にも主観的にも、一に曰く清潔二に曰く整理三....
取返し物語」より 著者:岡本かの子
源右衛門、そちに頼みがあるが是非聴いては呉れまいか』 源右衛門『数ならぬ御同行の端くれの私|奴へ、お上人さま直々のお頼み、なんで否応を申しましょう。…………然し....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
当りのよい所に裸体になって、背中を亀の甲のように乾して居る。そうして羊の毛織りの端くれで鼻汁をかんで、その鼻汁をかんだ切布を頭の上に載せて乾しながら、うつうつと....