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端唄
「端唄〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
端唄の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「老年」より 著者:芥川竜之介
ばかりである。
女の姿はどこにもない。紺と白茶と格子になった炬燵蒲団の上には、
端唄《はうた》本が二三冊ひろげられて頸に鈴をさげた小さな白猫がその側に香箱《こう....
「夫婦善哉」より 著者:織田作之助
ずの「蝶柳」の上にサロンをつけて「サロン蝶柳」とし、蓄音器《ちくおんき》は新内、
端唄《はうた》など粋向きなのを掛け、女給はすべて日本髪か地味なハイカラの娘《こ》....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
きで鉦をたたいて去るあいだ、半七らは黙って茶を飲んでいた。隣りの二階では昼間から
端唄の声がきこえた。 「そこで早速だが、六間堀の伊勢屋はこの頃も出かけて来るかえ....
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
、染返しの掻巻にもならないで、長持の底に残ったのを、間に合わせに用いたのである。
端唄の題に出されたのも、十年近く以前であるから。見たばかりで、野路の樹とも垣根の....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
あったことはなかった。その癖、内で一杯飲むと、阿母さんやお玉さんの三味線で清元や
端唄を歌ったりしていた。お玉さんが家じゅうで一番陽気な質らしく、近所の人をみれば....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
、件の浄瑠璃だけは、一生の断ちものだ、と眉にも頬にも皺を寄せたが、のぞめば段もの
端唄といわず、前垂掛けで、朗に、またしめやかに、唄って聞かせるお妻なのであった。....
「深川女房」より 著者:小栗風葉
いからね」 「なあに、人はドッとしなくっても、俺はちょいとこう、目の縁を赤くして
端唄でも転がすようなのが好きだ」 「おや、御馳走様! どこかのお惚気なんだね」 ....
「勝太郎」より 著者:兼常清佐
かく私にはこんなレコードの持つリュトムスの感じが甚だ気に入る。きまり切った三味線
端唄なら、そう大した事はないが、自由な民謡では音の長短の割合と曲の進行する速度と....
「明治時代の湯屋」より 著者:岡本綺堂
、湯ぶくれ都々逸のたぐいは、明治以後も絶えなかった。義太夫、清元、常磐津、新内、
端唄、都々逸、仮声、落語、浪花節、流行唄、大抵の音曲は皆ここで聴くことが出来たが....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
心得ていましたから、(ちとお歌でもなさりませんか、)といいますとね。 どど一か
端唄なら、文句だけは存じておりますが、といって笑顔になって、それはお花見の船でな....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
んだ形を、抜いて持った銀の簪の脚で、じゃらすように平直していた。 流行の小唄|
端唄など、浄瑠璃とは趣かわって、夢にきいた俗人の本歌のような風情がある。 荒唐....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
なものでも清元や常磐津の一とくさり位は唄ったもんだ。二葉亭のお父さんも晩酌の膳に
端唄の一つも唄うという嗜みがあったのだから、若い時分には相応にこの方面の苦労をし....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
状までも取った多芸者であった。お玉ヶ池に住んでいた頃、或人が不斗尋ねると、都々逸
端唄から甚句カッポレのチリカラカッポウ大陽気だったので、必定お客を呼んでの大酒宴....
「斎藤緑雨」より 著者:内田魯庵
コンナラクナ事ハアリマセヌ、慾ニハ私モ東京ニイテ、文芸倶楽部ノ末ノ方ニアルヨウナ
端唄ヲツクッテ、竹富久井アタリニ集会シテイマシタラ、モウ一倍ラクナ事ダロウト思イ....
「雨」より 著者:織田作之助
に手をひっぱられたのか、どこをどう通ったのか、どれ位時が経ったのか、やがてまるで
端唄をうたうような意気な調子の高砂やの声に初てはっと眼覚める想いで、声の主をみた....