端座[語句情報] » 端座

「端座〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

端座の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
恩讐の彼方に」より 著者:菊池寛
ねて、また更に振い立った。夜は如法《にょほう》の闇に、昼もなお薄暗い洞窟のうちに端座して、ただ右の腕のみを、狂気のごとくに振っていた。市九郎にとって、右の腕を振....
鍵から抜け出した女」より 著者:海野十三
弥陀如来の前に油入りの燭台を置き、黄色い灯を献じた。そして夕餐が済むと、その前に端座して静かに経文を誦し始めたのであった。僕は側から、灯に照らされた秀蓮尼の浮き....
ある抗議書」より 著者:菊池寛
ウトしたかと思うと、『おとしおとし』と、叫んで、狂気のように跳ね起きて布団の上に端座して、何やらブツブツと申すかと思うと、又さめざめと泣き伏すのでありました。 ....
黒百合」より 著者:泉鏡花
、何につけても、お前達にもう逢いたくはなかったよ。」 と若山は花屋の奥に端近く端座して、憂苦に窶れ、愁然として肩身が狭い。慶造と呼ばれたのは、三十五六の屈竟な....
後光殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
大石に背を凭せて、両手に珠数をかけて合掌したまま、沈痛な表情で奥の天人像に向って端座しているのだ。年齢は五十五、六、左眼は失明していて、右眼だけをカッと瞶いてい....
紅白縮緬組」より 著者:国枝史郎
ていうのであった。 その同じ夜の暁であったが、其角は揚屋の二階座敷の蒲団の上に端座して、じっと考えに更けっていた。 先刻一蝶と約束した、読み込みの句が出来な....
正雪の遺書」より 著者:国枝史郎
その儘役宅へ帰って来た。 屋敷へ帰っても伊豆守は、支度を取ろうともしなかった。端座したまま考えている。腑に落ちないことでもあるのだろう。 夜は深々と更けて行....
剣侠」より 著者:国枝史郎
かぬ、要介と多四郎は広い道場の、中央に居るところから、道場の端に腰板を背にして、端座している浪之助から見ると、人形のように小さく見えた。 おおよそ六尺の間隔を....
五右衛門と新左」より 著者:国枝史郎
いた。 二 「作意の働き面白いな。手前を見たい。一服立てろ」 秀吉は端座した。 亭主、恭しく一揖し、雲脚を立てて参らせた。 「これは、よく気が付い....
或る秋の紫式部」より 著者:岡本かの子
は縁で髪を梳きかけている。隣の庵室には上手を向いて老いさらばった老僧が眼を瞑って端座している。虫の声。) 老侍女(髪を梳き終って道具を片付けながら)「ああ、やっ....
棲霞軒雑記」より 著者:上村松園
るのも、禅を行なう人がうす暗い僧堂で無念無想の境に静座しているのも、画家が画室で端座しているのも、その到達する境地はひとつである。 墨をすり紙をひろげて視線を....
妖怪学」より 著者:井上円了
に平行せしむるなり。しかして、その目前におよそ五、六尺を離れて他の一人粛然として端座し、口中に呪文を黙誦することおよそ五、六分時間にして、両手の棒、次第に動揺す....
淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
偲ばしめる趣向で、これを天狗部屋と称していた。この人の顔さえ定かならぬ薄暗い室に端座してベロンベロンと秘蔵の琵琶を掻鳴らす時の椿岳会心の微笑を想像せよ。恐らく今....
仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
きているどころか、炉に炭をつぎ入れ、新しい水の釜をかけて、湯の沸く暇を、炉の前に端座して心を練っておりました。 彼は小姓の通知を受けると、普通の答えをして、扇....
新古細句銀座通」より 著者:岸田劉生
正さんの顔はむずかしい顔であった。木ぼりのえんまさんとよく皆がいったが、きちんと端座して一と処をみつめた顔は正にその通りである。うちの万吉という薬を調合する男が....