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「端書〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

端書の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
疑惑」より 著者:芥川竜之介
たのに気がついた時、無意識にあの別荘番を予期していた私は、折よく先刻書いて置いた端書の投函《とうかん》を頼もうと思って、何気なくその方を一瞥した。するとその襖側....
」より 著者:芥川竜之介
感激に充ち満ちている少女である。着物を雨で濡らす心配があるか、ライン河の入日の画端書《えはがき》に感嘆の声を洩《も》らす時のほかは、滅多《めった》に雲の影などへ....
浜菊」より 著者:伊藤左千夫
待合室へ廻った。明日帰る時の用意に発車時間を見て置くのと、直江津なる友人へ急用の端書《はがき》を出すためである。 キロキロと笛が鳴る。ピューと汽笛が応じて、車....
恭三の父」より 著者:加能作次郎
中にも手紙を書くのと散歩とは欠かさなかった。方々に居る友達へ順繰に書いた。大方|端書であった。彼は誰にも彼にも田舎生活の淋しい単調なことを訴えた。そして日々の出....
愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
学者に面会を求めたときに、その学者が仕事が忙しいためにある面会日を指定した簡単な端書をくれたときに自分の心が傷つき、ついに不満の意を認めた手紙をその学者に送って....
江戸か東京か」より 著者:淡島寒月
時は、官憲の仕事ではあり、官吏の権威の重々しかった時の事ですから、配達夫が一葉の端書を持って「何の某とはその方どもの事か――」といったような体裁でしたよ。まだ江....
木の子説法」より 著者:泉鏡花
、日も、少しずつ積りました。 ――さあ、その残暑の、朝から、旱りつけます中へ、端書が来ましてね。――落目もこうなると、めったに手紙なんぞ覗いた事のないのに、至....
女客」より 著者:泉鏡花
までに、ずッと出して差置くのを、畳をずらして受取って、火鉢の上でちょっと見たが、端書の用は直ぐに済んだ。 机の上に差置いて、 「ほんとに御苦労様でした。」 「....
小公女」より 著者:菊池寛
た。「皇帝にもお会いになる?」 「そんなことは手紙で知らせるよ。農民やなんかの絵端書も送ってやろう。さ、もう家にお入り。いやにじめじめしているね。お父さんは、モ....
獄中消息」より 著者:大杉栄
言え。雑誌の相談はどうなったか。 留守中の財政はどうか。山田から十五、六日頃に端書が来るだろう。お絹嬢にでも取りにやらせろ。仙台に行っている筈のことを忘れるな....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
当るもので、花びらではないというのである。それだけのことを注意するためにわざわざ端書をよこした。鶴見は御苦労なことと思っただけでそれなりにしておいた。今になって....
光は影を」より 著者:岸田国士
いた、その途中だからさ」 「満洲で君の部隊が牡丹江にいることがわかつたから、一度端書出したんだが、見てないだろうな」 「いや、それは、たしかに見た。返事はすぐ出....
深川女房」より 著者:小栗風葉
「ここへ置きますよ」 配達夫の立ち去った後で、お光はようやく店に出て、框際の端書を拾って茶の間へ帰ったが、見ると自分の名宛で、差出人はかのお仙ちゃんなるその....
雪柳」より 著者:泉鏡花
がつして、息を切って萩寺の方へ出たでしょうか、真暗三方という形、かねて転居さきを端書で知っていました、曳船通の間淵の家に辿り着いた。ここで一片餉ありつこうし、煙....
斎藤緑雨」より 著者:内田魯庵
なるぞ』節の英雄と同列したるは歌曲を生命とする緑雨一代の面目に候」とでも冥土から端書が来る処だった。 緑雨の眼と唇辺に泛べるであった。ドチラかというと寡言の方....