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端近
「端近〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
端近の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「国貞えがく」より 著者:泉鏡花
さん、この二、三日は浜で鰯《いわし》がとれますよ。」と縁《えん》へはみ出るくらい
端近《はしぢか》に坐ると一緒に、其処《そこ》にあった塵《ちり》を拾って、ト首を捻....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
前の盤台を覗かせると、皆欲がるンだから……」 「これ、」 旦那様苦い顔で、 「
端近で何の事たい、野良猫に扱いやあがる。」 「だっ……て、」 「め組も黙って笑っ....
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
加の時とは違う、分けて近頃のさびれ方。仲の町でもこの大一座は目に立つ処へ、浅間、
端近、戸外へ人立ちは、嬉しがらないのを知って、家の姉御が気を着けて、簾という処を....
「隣の嫁」より 著者:伊藤左千夫
夫婦の顔にもはやむずかしいところは少しもなくなって、快活な話が出てくる。母までが
端近に出て来てみんなの話にばつを合わせる。省作がよく働きさえすれば母は家のものに....
「気狂い機関車」より 著者:大阪圭吉
喬介はそれに頷きながら撥形鶴嘴を受取ると、自身で詳しく調べ始めた。が、その柄の
端近くに抜かれた小指程の太さの穴に気付くと、貪る様にして暫くその穴を調べていたが....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
子 (顧みて)椅子をこちらへ。 侍女三、四、両人して白き枝珊瑚の椅子を捧げ、床の
端近に据う。大|隋円形の白き琅※の、沈みたる光沢を帯べる卓子、上段の中央にあり。....
「売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
も、いやしくも中|山高帽を冠って、外套も服も身に添った、洋行がえりの大学教授が、
端近へ押出して、その際じたばたすべきではあるまい。 宗吉は――煙草は喫まないが....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
ざいますか。」 と、小次郎法師の旅僧は法衣の袖を掻合せる。 障子を開けて縁の
端近に差向いに坐ったのは、少い人、すなわち黒門の客である。 障子も普通よりは幅....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
「慶造、何につけても、お前達にもう逢いたくはなかったよ。」 と若山は花屋の奥に
端近く端座して、憂苦に窶れ、愁然として肩身が狭い。慶造と呼ばれたのは、三十五六の....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
、浴衣の模様が、蝶々のように掠れて見えたは細君で、しかも坐って、紅麻に裳を寄せ、
端近う坐っていた。 「何だ、起きていたのか。」 「はい、つい、あのお話しに聞惚れ....
「阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
無いって。わたしは単衣物もほしいんだよ。あるだろう」 あとではこの様なことが、
端近い女部屋から終に奥深い女部屋に伝わった。鄒七嫂は嬉しさの余り彼の絹袴を趙太太....
「多神教」より 著者:泉鏡花
知らぬこと、髪、化粧し、色香、容づくった町の女が、御堂、拝殿とも言わず、この階に
端近く、小春の日南でもある事か。土も、風も、山気、夜とともに身に沁むと申すに。―....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
可心も何にも言わなかった。その事が後に分ります。……この一構は、村の庄屋で。……
端近へは姿も見えぬ、奥深い床の間と、あの砂浜の井戸端と、花は別れて咲きました。が....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
方から、風こそ荒べ、雪の夜は天地を沈めて静に更け行く、畳にはらはらと媚めく跫音。
端近になったがいと少く清しき声で、 「辻が帰っておいでかい。」 「あれ、」と低声....
「むかでの跫音」より 著者:大倉燁子
来たのか、大きな百足が畳の上をさらさらと音を立てて横ぎり、縁側の方へ逃げました。
端近く座っていた一人の女が驚いて飛び上り、 『あら、百足が――』 と金切り声で....