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競い
「競い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
競いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
あつかいながら、葉子は自分に何かきわ立った印象を与えようとして、いろいろなまねを
競い合っているような人々のさまを心の中で笑っていた。実際葉子が姿を見せてから、食....
「富士」より 著者:岡本かの子
て来る自分。蘇っては必死に美しさに盛返そうとするちから。これは一体何だろう。他と
競いごころを起すこの自分は一体何だろう。自分を自分から離して、冷やかに眺めて捌《....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
は濃いが、色は淡い。淡しとて、容色の劣る意味ではない。秋の花は春のと違って、艶を
競い、美を誇る心が無いから、日向より蔭に、昼より夜、日よりも月に風情があって、あ....
「茶の本」より 著者:岡倉覚三
飾のために、建築構造の美が犠牲にせられているのを見る。 茶室の簡素清浄は禅院の
競いからおこったものである。禅院は他の宗派のものと異なってただ僧の住所として作ら....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
型式なのでございます。そして、その黝ずんだ溝臭い溜水の中で、あの五人の方々が喘ぎ
競いていたのでございますわ」
こうして、四人の神秘楽人の正体が曝露されると同時....
「単独行」より 著者:加藤文太郎
えたるが如く、槍天を突き立山又前山を突き抜けて見え、東は八ヶ岳、南アルプスと覇を
競い、駒ヶ岳雲を抜きて聳ゆ、仙丈岳、北岳、間ノ岳、農鳥岳等天を突き、富岳整然と南....
「近時政論考」より 著者:陸羯南
すれば政論社会の通人ともいうべき論派なり。当時世の才子達人をもって居るものはみな
競いてこの宗派の信徒となりしがごとし。 国権論派とも称すべき他の一派は欧州大陸....
「征服の事実」より 著者:大杉栄
機械的優劣によるものである。かつ尚武心は発達した。野心深い酋長等は、互いに政略を
競い始めた。 グンプロウィツとラフエンホフアとは、この種族間の闘争によって社会....
「化銀杏」より 著者:泉鏡花
んじゃあないわね。」 お貞は面晴々しく、しおれし姿きりりとなりて、その音調も気
競いたり。 「しかしね、芳さん、世の中は何という無理なものだろう。ただ式三献をし....
「愛よ愛」より 著者:岡本かの子
人が耳かたむける軒の雀にこのわたしも――。 むかし、いくたりの青年が、この人に
競い負けてわたしのまわりから姿を消したことであろう。おもえば相当に、罪を担うて居....
「露肆」より 著者:泉鏡花
であるが、秋の中ばからは一月置きになって、大空の星の沈んだ光と、どす赤い灯の影を
競いつつ、末は次第に流の淀むように薄く疎にはなるが、やがて町尽れまで断えずに続く....
「書記官」より 著者:川上眉山
。光代光代、と呼び立てられて心ならずも光代は前に出づれば、あの今日はな、と善平は
競い立ちて、奥村様はじめ大事のお客であるから、お前にも酌に出てもらわねばならぬ。....
「穂高岳槍ヶ岳縦走記」より 著者:鵜殿正雄
槍の最南峰に当る絶嶮地、半ば以上登ると、錫杖の頭を並べたような兀々した巉岩が数多
競い立っている。先ずこの右側を廻り、次に左側に向って大嶂壁の下を通り抜ける、今度....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
にして、地形高低あり。かつ海湾に浜し、内外の風致、自然の美を呈す。ときに秋芳色を
競い、なかんずく菊花全盛を極む。 去。 (日本を去ってから三十日、海をわが家と心....
「娘」より 著者:岡本かの子
を海外貿易に求めた。近頃になっては、昭和五年に世界各国は金禁止に伴って関税障壁を
競い出した。鼈長の拓きかけた鼈甲製品の販路もほとんど閉された。支那事変の影響は、....