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競り
「競り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
競りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「競馬」より 著者:織田作之助
たん》、はやゴール直前で白い息を吐《は》いている先頭の馬に並《なら》び、はげしく
競り合ったあげく、わずかに鼻だけ抜いて単勝二百円の大穴だ。そして次の障碍《しょう....
「M侯爵と写真師」より 著者:菊池寛
着発の時などは、停車場のプラットフォームで、写真師と警察との撮ろう撮らせまいの小
競り合いがいつでも行われています。 今申した杉浦という男も、こうした連中の間に....
「鳥羽伏見の戦」より 著者:菊池寛
の感じが、よく出ていると思う。 鳥羽伏見の戦いは、戦いと云うのでなく、一つの大
競り合いである。通せ通さぬの問答からの喧嘩のようなものである。 小笠原壱岐守な....
「谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
りついたりして、暗い緑に潜む美しさが、湿おっている。 谷が狭くなるほど、両岸は
競り合うように近くなって、洗ったような浅緑の濶葉に、蒼い針葉樹が、三蓋笠に累なり....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
れた。 「エイ!」と一声。それより早く、一足飛びこんだ葉之助、ガッチリ受けて鍔元
競り合い、ハッと驚くその呼吸を逆に刎ねて体当り! ヨロヨロするところを腰車、颯と....
「火葬国風景」より 著者:海野十三
いるばかりだった。 すると急に、火焔が上に動きだした。金魚鉢の中で、火焔だけが
競り上りだしたのであった。見る見るうちに火焔の底が現れた。火焔はズンズン騰ってゆ....
「安吾巷談」より 著者:坂口安吾
全部を試合に賭ける。競走にしろ、水泳にしろ、レースというものはタイムではなくて、
競りあいなのだから、練習というものによって、力を技術的に合理化したアゲクに於ては....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
の心が変っていないとしても、美和子があきらめるはずはなく、結局は姉妹のあさましい
競り合になって、お互に気まずい思いの数々を、味わわなければならぬと思うと、今更美....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
るに及んで、はしなく心の中に、病的なものが立ち罩めてゆきました。と云うのは、母と
競り合い、陥し入れてまでも、幻の彼を占めようとしたからです。 夢の充実――それ....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
今は季節であるから盛に若芽をふいているが、仔細に見ると、老木の割に若芽がひどく
競り合い過ぎるように思われる。鶴見は颱風で一度倒されたということを聞いたのみで、....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
左右に又前後に、揺れつ縒れつ押し押されつ、粘ったままで放れなかった。 15 鍔
競り合い! 眼と眼との食い合い! そうだ、林蔵と猪之松との眼が、交叉された刀....
「番町皿屋敷」より 著者:岡本綺堂
「きょうは喧嘩もなされなんだか」 「奴殿の話では、きょうも山王下で町奴と何かの
競り合があったとやらで、殿様お羽織の袖が少し切裂かれておりました」 「あぶないこ....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
家並は皆取崩されるのですから、荷物を山と積上げたトラック、馬力で一杯です。自然|
競りあげられて、一台千円などという法外な値となります。向側は何事もなくて、立派な....
「呼ばれし乙女」より 著者:岡本かの子
の露骨な振舞いが少しきまり悪かった。 薄霧の曇りは、たちまち剥げかかって来た。
競り上るように鮮かさを見せる満山の新緑。袷の紺飛白に一本|独鈷の博多の角帯を締め....
「娘」より 著者:岡本かの子
るよりも速くなっても、自分には同じ水の上に松浦の艇と自分の艇とが一二メートルずつ
競り合っているに過ぎない感じだ。精神の集注は、彼女を迫った意識の世界へ追い込む。....