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笏
「笏〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
笏の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「クララの出家」より 著者:有島武郎
体を乗出しながらそれに眺め入った。フランシスはやがて自分の纏ったマントや手に持つ
笏に気がつくと、甫めて今まで耽っていた歓楽の想出の糸口が見つかったように苦笑いを....
「四条畷の戦」より 著者:菊池寛
になって、文事ばかりになると、河原の落書にまで「きつけぬ冠上のきぬ、持もならわぬ
笏もちに、大裏交りは珍らしや」と愚弄されるのも癪に触る。その上、素朴な一般武士の....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
この通事は身分の高い家に仕えている者であったので、その主人が牛三頭と白金一|
笏をつぐなうことにして、梁氏に示談を申し込んだ。 「夫の代りにあの男の命を取った....
「天守物語」より 著者:泉鏡花
萩 もし、面白いお話を聞かして下さいましな。 朱の盤 聞かさいで何とする。(扇を
笏に)それ、山伏と言っぱ山伏なり。兜巾と云っぱ兜巾なり。お腰元と言っぱ美人なり。....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
、頸の窪。 「足許は暗じゃが、のう。」と悄れた肩して膝ばかり、きちんと正しい扇を
笏。 と、思わず釣込まれたようになって、二人とも何かそこへ落ちたように、きょろ....
「茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
あの、大旗が濡れてはならぬが、降りもせまいかな。」 と半ば呟き呟き、颯と巻袖の
笏を上げつつ、とこう、石の鳥居の彼方なる、高き帆柱のごとき旗棹の空を仰ぎながら、....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
士が物凄い武器を持ったり、苦労を知らない青年たちが笑ったり歌を唄ったりして来た。
笏杖を持った僧侶や、金をじゃら付かせている忙がしそうな商人たちも来た。しかもみな....
「露肆」より 著者:泉鏡花
て喜ばせる。その小父さんが、 「いや、若いもの。」 という顔色で、竹の鞭を、ト
笏に取って、尖を握って捻向きながら、帽子の下に暗い額で、髯の白いに、金が顕な北叟....
「杜子春」より 著者:芥川竜之介
で唯|頭を垂れたまま、唖のように黙っていました。すると閻魔大王は、持っていた鉄の
笏を挙げて、顔中の鬚を逆立てながら、 「その方はここをどこだと思う? 速に返答を....
「飯田蛇笏」より 著者:芥川竜之介
或木曜日の晩、漱石先生の処へ遊びに行っていたら、何かの拍子に赤木桁平が頻に蛇
笏を褒めはじめた。当時の僕は十七字などを並べたことのない人間だった。勿論蛇
笏の名....
「白光」より 著者:井上紅梅
と、月はすでに西高峯の方面に隠れ去った。町を去る三十五里の西高峯は眼の前にあり、
笏を執る朝臣の如く真黒に頑張って、その周囲にギラギラとした白光は途方もなく拡がっ....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
太秦広隆寺の桂宮院に納めてある太子の御尊像そっくりであった。左右に童子を随えて、
笏を捧げて立たせたまう、あの聡明と威厳を備えた御影である。 鶴見はうっとりとし....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
ける高い椅子に王様のようにどっかと坐りこんでいた。その手に彼は専制君主の力を示す
笏というべき鞭をふりかざしていた。正義の鞭は王座の背後の三本の釘にかけてあり、悪....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
の。かねて誂の剃刀を、あわせて届けに来たと見える。かんぬしが脂下ったという体裁、
笏の形の能代塗の箱を一個、掌に据えて、ト上目づかいに差出した。それは読めたが、今....
「金山揷話」より 著者:大鹿卓
なんだい。やはり鉱山のいきさつか。今どきちょっと珍しい出入りだね」 「なんでも支
笏湖の近くの金鉱区という事だが、最近その取引がついたらしいんだね。ところが前にそ....