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「笑える〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

笑えるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
人間失格」より 著者:太宰治
は、この子は、両方のこぶしを固く握って立っている。人間は、こぶしを固く握りながら笑えるものでは無いのである。猿だ。猿の笑顔だ。ただ、顔に醜い皺《しわ》を寄せてい....
富士」より 著者:岡本かの子
女は笑いながら、しかし拵《こしら》えたものでなく、自然に、このことをおかしみ笑える自分を、男に見せられなかったのを残念に思った。そこにすでに男の虚勢を見透し....
オリンポスの果実」より 著者:田中英光
は、ワアッと大笑いでした。 あなたとの友情も、こんなに巫山戯半分で、皆と共々に笑える余裕《よゆう》があったなら、あんなに皆から憎《にく》まれず、また、ぼくも苦....
薤露行」より 著者:夏目漱石
ながらからからと笑う。高き室《しつ》の静かなる中に、常ならず快からぬ響が伝わる。笑えるははたとやめて「この帳《とばり》の風なきに動くそうな」と室の入口まで歩を移....
新生」より 著者:島崎藤村
うちには岸本は静かに横に成っている姪《めい》をいたわりながら、こんなことを言って笑えるまでになった。 「随分お前も色が黒いんだね」 そう言われた節子はまた壁の....
新ハムレット」より 著者:太宰治
想だ。生きている人間みんなが可哀想だ。精一ぱいに堪えて、生きているのに、たのしく笑える一夜さえ無いじゃないか。」 ポロ。「いまさら、また、何をおっしゃる。可哀....
小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
ぐりて焔のごとく立ち上りつ。かの常にわが冷頭を誇り、情に熱して数字を忘るるの愚を笑える千々岩も、連敗の余のさすがに気は乱れ心狂いて、一|腔の怨毒いずれに向かって....
読書法」より 著者:戸坂潤
の中に立って、一つの新鮮な健康な存在である。何らかの唯物論者がデモクリトス以来、笑える哲学者であることを、彼は読者に思い起こさせるだろう。 2 譬喩の権限 ....
三斜晶系」より 著者:寺田寅彦
それと全く同じことを同じ三人がいついかなる場所で話し合ってもこの場合と同じように笑えるかどうか。どうもそうとは限らないであろうと思われた。この場合にこの人たちを....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
、この私の悲しい心の底を驚かせてくれるものがございません。泣ける時に泣けない人、笑える時に笑えない人、驚く時に驚けない人は、恵まれない人でございます……衆生《し....
化銀杏」より 著者:泉鏡花
に米塩の料を稼ぐなりけり。 渠は常にものいわず、極めて生真面目にして、人のその笑えるをだに見しものもあらざれども、式のごとき白痴者なれば、侮慢は常に嘲笑となる....
照葉狂言」より 著者:泉鏡花
両袖をもてわが背蔽いぬ。 「覚えておれ、鳥居前は安宅の関だ。」 と肩を揺りて嘲笑える、渠は少しく背|屈みながら、紅の襯衣の袖二ツ、むらさきの帯に突挿しつつ、腰....
宝島」より 著者:佐々木直次郎
、あの船を君たちの中の一人だって二度ともう見られない処へ隠したのも僕だよ。勝って笑えるのは僕の方なんだ。僕はこの事件では初手から上手に出ているんだ。僕はもう君た....
ヘンゼルとグレーテル」より 著者:楠山正雄
の男は、こどもたちを森の中に置きざりにして来てからというもの、ただの一ときでも、笑える時がなかったのです。ところで、おかみさんも死んでしまっていました。 グレ....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
る事実が、次の室へ移ってもまた、幾百の女の二十日鼠がいかに天手古舞であることか。笑えるものではないのである。 若い女たちも、実に機敏で手馴れたものである。卓の....