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笑む
「笑む〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
笑むの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
くばりましたが、すぐに新蔵の姿を見つけたのでしょう。まだ気づかわしそうな眼でほほ
笑むと、つと蓮葉《はすっぱ》に男の側へ歩み寄って、「長い事御待たせ申しまして。」....
「雛がたり」より 著者:泉鏡花
く、電燈を消して、雪洞の影に見参らす雛の顔は、実際、唯瞻れば瞬きして、やがて打微
笑む。人の悪い官女のじろりと横目で見るのがある。――壇の下に寝ていると、雛の話声....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
も不思議そうに、 「交際って、私、厭ねえ。早瀬さんは内の人なんですもの。」と打微
笑む。 「内の人。」 「ええ、」と猶予わず頷いた。 「貴娘、そういう事を言っては....
「天守物語」より 著者:泉鏡花
紋は泡沫のよう。野袴の裾を端折って、灸のあとを出すのがある。おお、おかしい。(微
笑む)粟粒を一つ二つと算えて拾う雀でも、俄雨には容子が可い。五百石、三百石、千石....
「薬草取」より 著者:泉鏡花
「あの、美しい女と書きますって。」 女は俯向いて羞じたる色あり、物の淑しげに微
笑む様子。 可懐さに振返ると、 「あれ。」と袖を斜に、袂を取って打傾き、 「あ....
「夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
百合 ええ。 その水の岸に菖蒲あり二三輪小さき花咲く。 晃 綺麗な水だよ。(微
笑む。) 百合 (白髪の鬢に手を当てて)でも、白いのでございますもの。 晃 そり....
「木の子説法」より 著者:泉鏡花
ハタと両手をついた。 「かなしいな。……あれから、今もひもじいわ。」 寂しく微
笑むと、掻いはだけて、雪なす胸に、ほとんど玲瓏たる乳が玉を欺く。 「御覧なさい―....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
手を取るに、さりとも拒み得で伴われし。木戸に懸る時、木戸番の爺われを見つつ、北叟
笑むようなれば、面を背けて走り入りぬ。 人大方は来揃いたり。桟敷の二ツ三ツ、土....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
中が来るッていうから少々、あなた、靴まで隠して来たんですか。」 表に夫人の打微
笑む、目も眉も鮮麗に、人丈に暗の中に描かれて、黒髪の輪郭が、細く円髷を劃って明い....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
、ぼやりと仰向け、 「水を召されますかいの。」 というと、艶やかな歯でニヤリと
笑む。 息とともに身を退いて、蹌踉々々と、雨戸にぴッたり、風に吹きつけられたよ....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
って、猶予って四辺を見たが、手をその頬の辺へ齎らして唇を指に触れて、嫣然として微
笑むと斉しく、指環を抜き取った。玉の透通って紅い、金色の燦たるのをつッと出して、....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
乱されているので、われ等として、地上との交通に至難を感ずる。かかる場合に、ほくそ
笑むのは、低級未発達の悪霊どもである。かの投機的慾望によりて刺戟されたる無数の民....
「多神教」より 著者:泉鏡花
ね、媛神様のお庭の掃除をして、どんなにお喜びだか知れません――姉さん……(寂く微
笑む)あの、小母さんがね、ほんの心ばかりの御褒美をあげましょう。一度お供物にした....
「山吹」より 著者:泉鏡花
ようでおかしい、と思って、ぼんやり。――もっとも私も案山子に似てはいますが、(微
笑む)一枚、買いたいけれども、荷になると思って見ていますと、成程、宿の男が通りか....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
うして姉さんはお若さん?」 「はい、さようでございます。」とお若はあでやかに打微
笑む。 「ええと、ここを出て突当りに家がありますね、そこを通って左へ行くと、こう....