笹原[語句情報] »
笹原
「笹原〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
笹原の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
にも限りなき嬉しみを感ずるのである。高くもないけど道のない所をゆくのであるから、
笹原を押分け樹の根につかまり、崖を攀《よ》ずる。しばしば民子の手を採って曳《ひ》....
「吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
かしいと、のそのそ這《は》い出して見ると非常に痛い。吾輩は藁《わら》の上から急に
笹原の中へ棄てられたのである。
ようやくの思いで
笹原を這い出すと向うに大きな池....
「眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
うして? と訊くから、そういうのが、慌てる銃猟家だの、魔のさした猟師に、峰越しの
笹原から狙い撃ちに二つ弾丸を食らうんです。……場所と言い……時刻と言い……昔から....
「わが町」より 著者:織田作之助
が殺したようなもんやなあ」 と、言った。 十日ばかり経った夜、界隈の金満家の
笹原から、ちょっと話があるからと、他吉を呼びに来た。 黒の兵古帯を二本つなぎ合....
「単独行」より 著者:加藤文太郎
なり、それより中ノ湯を上り安房峠へいたる。なかなか深山らしき大森林なり(ブナ帯)
笹原を下り、平湯に出ず(十時半)十一時同所出発、鉱山跡を通り乗鞍大滝を見ながら上....
「黴」より 著者:徳田秋声
枝豆の束が、差し込んで来る日に炙られたまま、竈の傍においてあった。風が裏手の広い
笹原をざわざわと吹き渡っている。笹村は物を探るような目容で、深山の家へ入っていっ....
「敵討札所の霊験」より 著者:三遊亭円朝
な」 梅「はい/\」 と云いますが、お梅は此処に長居もしませんのは脛に疵持ちゃ
笹原走るの譬えで、直に門前へ出まして、これからお繼を捜して歩きましたが、何処へ行....
「トコヨゴヨミ」より 著者:田山花袋
っていた。此処等あたりまでは、開墾者もまだ入って来ないと見えて、低い灌木の野や、
笹原や、林の中に、路が唯一筋細くついているばかりで、あたりには百姓の姿も見えなか....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
よ。 今日も、朝からお天気がいいものですから、わたしは一人で、小梨平を通り、低い
笹原を分けて無名沼《ななしぬま》へ遊びに参りました。 その途中、硫黄ヶ岳の煙と、....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
ろにある。有間山は万葉にはただ二カ処だけに出ているが、後になると、「有間山猪名の
笹原かぜふけばいでそよ人を忘れやはする」などの如く歌名所になった。 ....
「大正女流俳句の近代的特色」より 著者:杉田久女
菖蒲の芽 同 冬凪や小舟をつれてかゝり舟 せん女 りんだうや入船見おる小
笹原 久女 塀の外へ山茶花ちりぬ冬の町 かな女 蓮さくや暁かけて月の蚊帳....
「皇海山紀行」より 著者:木暮理太郎
まし、少し下り過ぎたように思ったので、下草の枯れた林の中を濡れながら登って頂上の
笹原に出た。そこには広い上に笹が深いので容易に路が見当らない。二人で三十分もかか....
「粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)」より 著者:三遊亭円朝
少し気分が悪いから帰ろう」 と何時になくぐず附かずに帰りましたが、脛に疵持ちゃ
笹原を走れぬという比喩の通りで、音羽の親藤左衞門を殺した身の上、若し此の事が知れ....
「秋の鬼怒沼 」より 著者:木暮理太郎
珍らしい訳ではない、秩父あたりにもこれ位の森林はいくらもある。然しこのなよやかな
笹原は容易に他所で見られないものである。如何にも気持がよい。人工を加えたもののよ....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
遣り度くなった。舌打ちをしながら押し分けて進むと、いつか爪先が仰ぐようになる。此
笹原が峠の頂上だったのだ。東の斜面を少し下った処に果して雪田が現われた。物々しい....