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笹藪
「笹藪〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
笹藪の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「恐怖城」より 著者:佐左木俊郎
にきらきらと輝きながら散る紅や黄の落ち葉を浴びながら、綱を身体に巻きつけたまま熊
笹藪《くまざさやぶ》の中を歩いた。彼のその足音に驚いて、この地方特有の山鳥が枝か....
「恐怖の口笛」より 著者:海野十三
壇の裏に抜けてゆく途中にある深い繁みであった。小径の両側には、人間の背よりも高い
笹藪がつづいていて、ところどころに小さな丘があり、そこには八手や五月躑躅が密生し....
「田舎教師」より 著者:田山花袋
行った所が役場だと清三は教えられた。かれはここで車代を二十銭払って、車を捨てた。
笹藪のかたわらに、茅葺の家が一軒、古びた大和障子にお料理そば切うどん小川屋と書い....
「黒髪」より 著者:近松秋江
陶然となっていたので、そこから出るとすぐ居合わす俥に乗って、川を東に渡り建仁寺の
笹藪の蔭の土塀について裏門のところを曲って、だんだん上りの道を東山の方に挽かれて....
「正岡子規」より 著者:夏目漱石
うと思っていた。それから頻《しき》りに僕に発句を作れと強《し》いる。其家の向うに
笹藪《ささやぶ》がある。あれを句にするのだ、ええかとか何とかいう。こちらは何とも....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
ていても際限がないと、お絹は浴衣の襟をつくろってそこを立とうとした時に、縁の下の
笹藪《ささやぶ》がガサと動いて、幽霊のようなものが谷川の中から、煙のように舞い出....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
、闘気に燃えたっている栄三郎は、あわてて身を挺して追いかけようとしたとき、眼前の
笹藪《ささやぶ》がざわめいて、兎のように躍り出たのは、帯のまわりに裸の短剣をズラ....
「蔵の二階」より 著者:豊島与志雄
そんな筈はない。耳の方がどうかしてるのかとも思うのだが、そうでもないらしい。裏の
笹藪の音までよく聞こえる。
笹藪に風のあたる音、
笹藪の中を犬が歩く音、みんな聞こえ....
「凍雲」より 著者:矢田津世子
犬は笹の間から黒い尖った顔を向けて待っている。 「何してる。そら、そこだ!」
笹藪がはげしく音をたてて、ひとしきり、うねった。犬は、また、黒い瞳を向けた。途方....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
涅槃」の両|聯も、訪客に異様な眼を※らした小さな板碑や五輪の塔が苔蒸してる小さな
笹藪も、小庭を前にした椿岳旧棲の四畳半の画房も皆焦土となってしまった。この画房は....
「遍路」より 著者:斎藤茂吉
て弁当を食いはじめた。道に溢れて流れている水に口づけて飲んだり、梅干の種を向うの
笹藪に投げたりして、出来るだけ長く休む方が楽であった。 そこに一人の遍路が通り....
「葛飾土産」より 著者:永井荷風
見たものであった。野生の萩や撫子《なでしこ》の花も、心して歩けば松の茂った木蔭の
笹藪の中にも折々見ることができる。茅葺《かやぶき》の屋根はまだ随処に残っていて、....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
を覗いて見る。 水口から少し離れた所に、苔のさびた石井戸があり、その向うに暗い
笹藪がある。 縞の着物をきたひとりの男が、こっちへ手招きをしてみせた。 「新吉....