筆の運び[語句情報] »
筆の運び
「筆の運び〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
筆の運びの前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
相変らずクド/\と書き立てた保釈願を出した。翌日不許可になると、再び同文の、而も
筆の運びから字配り、行割りから字と字の間まで寸分違わぬ、よくもかくまで同一に書け....
「備忘録」より 著者:寺田寅彦
ろう。 身近い人であればあるほどその追憶の荷はあまりに重くて取り上げようとする
筆の運びを鈍らせる。ただ思い出の国の国境に近く住むような人たちの事だけが比較的や....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
は一冊の手帳を求め、平生これを懐中して居るようにした。そうすると霊気が浸潤して、
筆の運びが迅いからである。敲音なども、平生使い慣れた卓子には早く起り、又諸種の心....
「千世子(三)」より 著者:宮本百合子
居た。 誰にも会わず何にも読めもしないで居る千世子には、絶えずはかどって行く絵
筆の運びと心も身もその筆の先にこめて居る京子の様子を見るのがたった一つの慰めであ....
「紅葉山人と一葉女史」より 著者:宮本百合子
筆をつけて居る時の苦心の名残は、つゆほどもなく、スラスラと、江戸前のパリパリの
筆の運びには、感歎のほかはないのである。 よくこう筆が動いたものだ。 読んだ....
「白髪鬼」より 著者:岡本綺堂
て、わたしの書いている紙の上を覗き込むようにじっと眺めていると、不思議にわたしの
筆の運びがにぶくなって、頭もなんだか茫として、何を書いているのか自分にも判らなく....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
絵を描いているのを実際に見るのは、二人ともはじめてだったので、そのまま坐って、絵
筆の運びに見入っていた。 画仙紙には、えたいの知れない線や点がべたべたとなすら....
「茶屋知らず物語」より 著者:岡本かの子
円通は興にまかせて流るるような草書を書いて与えました。受取った人は大悦び、美しい
筆の運びに眼を細めましたが、さて何と書いてあるのか余りひどいくずし方で読めません....
「迷彩」より 著者:上村松園
ったりしました。唐紙の古いのは、ガサガサした塵埃が脱けているような気がして大そう
筆の運びがいいように思います。紙もそうですが、画絹も質のよし悪しで、仕上がった後....
「叔父と甥と」より 著者:岡本綺堂
れけり 同 われも香の烟に咽びつつ、おなじく短尺の筆を取る。手はおののきて
筆の運びも自在ならず。 寂しさは絵にもかかれず暮の秋 あきらめは紋切形の露の世や....