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筆を執る
「筆を執る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
筆を執るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
いたそうな。 ◯井上康文君の詩、昨二十五日夜放送さる。いやな気がした。われら当分
筆を執るまい。 ◯中川八十勝君、昨夜郷里広島へ出発。家族は大竹ゆえ、たぶん心配は....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
みにもう一度かの女に会い度いという意慾の単独性が、露骨に現われて来ていた。 文
筆を執ることを職業として、しじゅう名前を活字で世間へ曝らしているかの女は、よくい....
「河明り」より 著者:岡本かの子
じゃありませんか」 この叔母は、私の生家の直系では一粒種の私が、結婚を避け、文
筆を執ることを散々嘆いた末、遂に私の意志の曲げ難いのを見て取り、せめて文筆の道で....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
入りの世話場であった。採菊翁は最後の四幕目を書く筈であったが、半途で病気のために
筆を執ることが出来なくなったので、私が年末の急稿でそのあとを綴じ合せた。 この....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
ものである。これは直接書記と区別せねばならない。前者にありては、霊媒はペン又は鉛
筆を執るか、若くは片手をプランセットに載せるかすると、通信が本人の意識的介在なし....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
嘲笑を招くこともあるべければ、それらの情冷かになりそれらの譏遠くなりての後にまた
筆を執ることを楽むべし。....
「或る秋の紫式部」より 著者:岡本かの子
、また、いじらしいところもある蝶々さ、そうお憎みでないよ」 (式部再び机に向って
筆を執る。老侍女は所在なさそうにまじまじ式部の様子を見入っている) (夕暮に向う....
「「草紙洗」を描いて」より 著者:上村松園
すと電燈がついている、さてはまだ描いているなと思いまして、わたくしも負けずにまた
筆を執るという工合で、母子競争で制作に励んだわけでした。 松篁もなかなか熱心で....
「靄の彼方」より 著者:上村松園
ことも、決して楽しみでないとはいえないと思います。 ですが、私がもし現代風俗に
筆を執るとしたら、私はどんな風にこれを取り扱い、どんな風の表現によるのでしょうか....
「迷彩」より 著者:上村松園
りかえるのもどうかと考えまして、そのまま用いますが、性に合わない絹へ描くことは、
筆を執るものとして難儀なことの一つです。しかし絹がどうあろうと、作家としては、粗....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
ある。二葉亭も一つの文章論としては随分思切った放胆な議論をしていたが、率ざ自分が
筆を執る段となると仮名遣いから手爾於波、漢字の正訛、熟語の撰択、若い文人が好い加....
「一日一筆」より 著者:岡本綺堂
その第三幕目に高輪海岸の場がある。今初めてお目にかかる景色でもないが、とにかくに
筆を執るに当って、その実地を一度見たいというような考えで、わざわざここまで足を運....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
するには到らざりしをもて、筆を執りて文を草することも出来しなり、されどこのごろは
筆を執るも慵くてただおもひくづをれてのみくらす、誠にはかなきことにこそあれ。」 ....
「西航日録」より 著者:井上円了
日一日より炎威相加わり、宛然三伏を迎うるがごとし。ときどき惰気眠りを促しきたり、
筆を執るにものうし。ただ終日、甲板上に横臥するのみ。余よっておもうに、人の脳漿は....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
考えて、その理を知った以上、誰でも米を作れるかと言うと、そうはゆきません。私たち
筆を執る職のものに、籾と土地と肥料とを与えられて、作って見ろと言われても、とても....