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筆を擱く
「筆を擱く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
筆を擱くの前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
書き連ねる言葉は、恐らく私の使役に反抗するだろう。然し縦令反抗するとも私はこれで
筆を擱くことは出来ない。私は言葉を鞭つことによって自分自身を鞭って見る。私も私の....
「雛妓」より 著者:岡本かの子
階に向って「帰ってよ」と声をかけるのである。 すると二階にいる主人の逸作は、画
筆を擱くか、うたた寝の夢を掻きのけるかして、急いで出迎えて呉れるのである。「無事....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
無罪、冤罪だと言いふれた者の非をも撃たねばなるまい」 筆者は茲に支倉の死と共に
筆を擱くに際し、かくの如き至難比類なき疑獄事件に、終始一貫、不屈不撓の精神を以て....
「魔法修行者」より 著者:幸田露伴
天狗画天狗|浄瑠璃天狗、その上に本物の天狗に出られて叱られでもしたら堪らないから
筆を擱く。 我邦で魔法といえば先ず飯綱の法、荼吉尼の法ということになるが、それ....
「あめんちあ」より 著者:富ノ沢麟太郎
り物を言いかけて、彼の目前にはいない自分の母親を呼んだ。 * ここで
筆を擱く。―― これは私の友人A・Kが、M――脳病院へ入院するようになったそれ....
「新感覚論」より 著者:横光利一
が、それはまた自ら別個の問題となって現れなくてはならぬ境遇を持つが故に、先ず茲で
筆を擱く。....
「マーカス・ショーとレビュー式教育」より 著者:寺田寅彦
もあるようである。ずいぶん果報な道楽者だとも云われるであろう。 ここまで書いて
筆を擱くつもりでいたら、その翌日人に誘われて国宝展覧会を観に行った。古い絵巻物の....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
を不思議な証跡の連鎖となるべき最後のものとして、私は「北極星号」のこの航海日誌の
筆を擱く。 (附記)――父のマリスターレー医師の注。――わたしは自分の忰の航海日....
「健康と仕事」より 著者:上村松園
が延長しそうになるのである。 警戒々々……そんな時には医者の言葉を守ってすぐに
筆を擱く。そのかわりあくる朝は誰よりも早く起きて仕事にかかるのである。 一般に....
「露伴の出世咄」より 著者:内田魯庵
について語るべき事は多いが、四枚や五枚ではとても書尽されないから、今はこれだけで
筆を擱く。....
「『劉生画集及芸術観』について」より 著者:和辻哲郎
これだけにとどまらない。が、自分はただこの書を読者諸君に推薦し得たことに満足して
筆を擱く。....
「三国志」より 著者:吉川英治
みて、涕泣おち、云うところを知らず。 表の全文はここで終っている。おそらく彼は
筆を擱くとともに文字どおり故玄徳の遺託にたいして瞑目やや久しゅうしたであろう。そ....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
―もう二度とは、こんな好機にも恵まれまい。これを以て、資朝のこの世における遺言の
筆を擱く。 君よ迷うな。 読後、御火中の事。 読み終ると、俊基はすぐそれを....