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「筆勢〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

筆勢の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
虞美人草」より 著者:夏目漱石
気《のんき》な白襖《しろぶすま》に舞楽の面ほどな草体を、大雅堂《たいがどう》流の筆勢で、無残《むざん》に書き散らして、座敷との仕切《しきり》とする。 甲野《こ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
の勢いが、ばかに気持がいいので、お得意柄、名人の使う槍でも見るような気持で、その筆勢に見惚《みと》れておりました。 感心なことに宇治山田の米友は、何事に限らず....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
ずれにも鼾の主《ぬし》は見えないで、見上げるところに大きな額《がく》、流るる如き筆勢で、 鈴鹿山、浮世《うきよ》をよそに振りすてて いかになり行く我身《わが....
毒瓦斯発明官」より 著者:海野十三
った。さあたいへん、危いかな博士の一命! 生かまたは死か? 2 ……筆勢あまって嚇し文句を連ねてはみたが、ここで金博士が、間髪を容れず、顔にあたった....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
いるはずなのを、この筆者は「唯見碧流水」と書いている。碧流水ではおかしい、多分、筆勢のあまりで間違えたのだろう――というように、兵馬は見てしまいました。 その....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
を落そうとしたのは、憤慨のためではありません。 その竜蛇を走らすが如き奔放なる筆勢――或いは意気に打たれたとでもいうのでしょう。 十九 ま....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
行成様《こうぜいよう》の仮名で達者に認《したた》めました。それを見ると、素晴しい筆勢だと思わないわけにはゆきません。 行成を学んでも、その骨法をうつし得るもの....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
心がけを持って、絵馬師に描かせたものではないが、普通の人が、かなり丹精に、絵馬の筆勢に似せて描いたものであります。 お松は、何ともいえないイヤな思いをさせられ....
傍人の言」より 著者:豊島与志雄
の輪廓を取扱うものだし、洋画は元来、物の面を取扱うものだ。輪廓を取扱うからして、筆勢とか墨色とかが重大な問題となってくる。ところが面を取扱う場合には、何よりもヴ....
娘煙術師」より 著者:国枝史郎
という文字が書かれてあって、十二宮殿の人相画や、天地人三才の手相画が、うまくない筆勢で描かれてもいた。それさえひどくほぐれているし、鞘の塗りなどもはげていた。老....
勧善懲悪」より 著者:織田作之助
)それに続く一節は、筆者の脚色力はさきの事実の見落しを補って余りあるほど逞しく、筆勢もにわかに鋭い。 ――口に蜜ある者は腹に剣を蔵する。一人分八百円ずつ、取る....
絹と紙の話と師弟の間柄の話」より 著者:上村松園
く、時には筆者さえも予想しなかったような、勢いに乗じて出来た妙味があります。この筆勢の妙味は時には再び繰返そうとしても到底繰返すことの出来ないようなものも出来ま....
虹と感興」より 著者:上村松園
いるのは、なんといっても、橋本雅邦先生の水墨で出来た天井絵の龍です。とても凄じい筆勢のもので、非凡のものでした。あれを見ても雅邦という方の尋常人でなかったことが....
妖怪玄談」より 著者:井上円了
考うるも想出することあたわざりしに、筆を取りてその苗字を書き終わりたれば、自然の筆勢によりてその実名を書き出だせしことあり。また、字に書かんと欲して忘れたるもの....
江戸芸術論」より 著者:永井荷風
たり。 春信の板画には菱川《ひしかわ》一派の板画に現はれたる元禄時代の放胆なる筆勢は全く消滅してまた尋ぬべくもあらず。然《しか》れども奥村《おくむら》一派の作....