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筆洗
「筆洗〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
筆洗の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「伸子」より 著者:宮本百合子
して襖をあけ放ち、広い方に緋の毛氈《もうせん》を敷いてあった。大きな盆に、絵筆や
筆洗絵具皿などをのせてある。多計代は、毛氈の上で唐紙を截《き》っていた。伸子は、....
「楢重雑筆」より 著者:小出楢重
がよいので、私は日本画の彩色筆を大小五、六本と、面相筆を二、三本用意しています。
筆洗い 石油、及アルコールを併用します、即ち石油で先ず洗った後になおアルコールで....
「油絵新技法」より 著者:小出楢重
まりに早く乾燥するので多少ぼかしはやり難いが、これは熟練によらなければならない。
筆洗いとしてはアルコールを用いている。手のよごれやガラスの掃除にも重宝である。 ....
「落ちてゆく世界」より 著者:久坂葉子
をわかちあうのでした。展覧会に行って私達は二人の世界を見つけておりました。一つの
筆洗が二つの絵をそれぞれつくり上げる時に、私達だけの安息場所を感じていたのです。....
「二つの途」より 著者:豊島与志雄
息吹きが至る所にあった。棚の上の石膏像には少しの埃もかかっていなかった。室の隅の
筆洗盤は綺麗に磨かれていた。釘に吊してある外套の裾には少しの泥もこびりついていな....
「白光」より 著者:井上紅梅
現した。 青い空は一つの海のような工合で、そこにいささか見える浮雲は、さながら
筆洗の中で白筆を洗ったように棚曳き、冴え渡った月は陳士成に向って冷やかな波を灌ぎ....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
れでおしまいじゃ。」 そしていかにも愉快そうに、ひとりでうなずきながら、絵筆を
筆洗にひたしていたが、 「二人とも、ようおとなしく坐っていたのう。いったい、いつ....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
子が下っていました。 兄が家にいられる時の机の上には、インキ壺、筆、硯、画筆に
筆洗などがあり、壁際には古い桐の本箱が重ねてありました。折れ曲った所のれんじ窓か....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
っておいで。」 「穏かでない、穏かでない、攫うは乱暴だ、私が借りる。」 胡粉に
筆洗を注いだのですが。 「画工でないのが口惜いな。」 「……何ですか蘭竹なんぞ。....
「白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
って、水の色が鉛のように光る。霧の霽れた山はおりおり頂を見せる。足下に流るる水を
筆洗に汲んで鼠色の雲を画き浅緑の岩を画く。傅彩画面の半ばにも至らぬころ、ポツリポ....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
しかも六曲半双へ、一気に。 試合の後――ほっと息づくように胸をあげて、静かに、
筆洗へ筆の先を沈めると、描きあげたわが画に一|顧もせず、伝奏屋敷の控えの広間から....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
のいる襖のほうへ立って行った。 そこは、ひそと、閉めきってあった。 筆、硯、
筆洗などをおいて、武蔵は、寂として坐っていた。 すでに描き上がっている一葉の画....